October 12, 2010
カーテン地のヴェルディ。数々の反響を戴きありがとう。そうですね。迷っていた方にはお勧めです。
部屋の基調色がクリーム色やアースカラーならなおさら。いずれにしても明度の暗いカーテンは、締めると部屋が真っ暗になるので驚くほど。なので、明るい色に勝るカーテンはないのかもしれないと思っています。部屋が暗いと目に悪いし、私は鬱っぽくなるので、暗い部屋は絶対にダメ。
で、5年間悩み続け、ついにつけた私の書斎のカーテンはシルクに刺繍という、とんでもなく高価なものに行き着いてしまいました。これは今までの30年間、自分のお金でカーテンを付けるという体験でずっと安く済まそうとして失敗を続けた私のトラウマから生まれた究極の選択でした。部屋の壁紙が白っぽいのは、東北向きの部屋でもともと暗い印象だったので、意識して決めたことです。なので、カーテンはシャンパンゴールドまで、明度を下げていますが、これでも部屋が暗くなったので驚きました。
下の写真はフラッシュで撮ったので、妙に明るいですが実際の色は上の写真。絵柄は時計草です。右の絵は自作(全部自作ですが)の偶然時計草の絵。西洋でカーテン屋さんのことをドレパリーと呼ぶことがあります。カーテンはドレープの芸術です。その際、シルクのカーテンは、かなり厚地の裏地を付けてボリューム感を出すものなのですが、実は裏地に後悔あり。もっともっと高価な綿入りの裏地にするべきだったかもと思ったのは、実際に美しい綿入りのシルクカーテンを英国で見た今年の春のことですが、このことに関してはもう、考えるのを止めた。
夫がインテリアをデザインした自由が丘のカフェドイシスにもさまざまなドレープがありますが、現実の生活で綺麗なドレープを維持するのもなかなか難しいという事実があります。西洋ではメイドさんが毎日行う。
左の写真はオランダのホテル。毎日、夕方部屋に戻るときっちり、ドレープが直っていて美しかった。
あ、そうだ。カーテン通の方よりコメントでいただいた ニナ・キャンベルは、わけがわからないけれど、嫉妬するほど素敵です。よくロンドンのショップを覗いて熱くなっていました。いつか我が手に入れたいと。
それで、我が家のゲストルーム。英国のB&Bみたいなインテリアにしようと、ちょっと凝った柄、ニナキャンベルに決めました。これも5年超し。
ともかく、西洋のファブリックは工芸的なアート作品です。それで軽く予算オーバー、ベネチアンブラインドにして使用平米を最低限にして使いました。写真は後日撮ってみようと思います。
やはり、実際にそれを使った部屋の写真を見たりするのが一番よくわかりますね。
英国の THE WOULD OF INTERIOR誌(なんと購読20年以上)と、HOMES & GARDEN誌(18年)を実に長いこと購読しています。インテリアの何かを決めるときは、そのバックナンバーなどを穴の開くほど眺めて研究しましたが、まだまだやはり、その真実がわかっていない気がします。そのために移住したのに。それで、ロンドンで住んでいた家のモジュールを計って今のわが家を作りましたが、西洋の美意識、まだまだそう簡単には身につかないなあ。と、恐れ入ります。かといって、和風の暮らしやシンプルモダンは私の性に合わないので、実に悶々とします。なので、この矛盾するような悶々が来たときは、前世は西洋人だったのだと思うことにしています。
最後の写真は、確かサンダーソンの作品。この一面だけでも凄い作品ですね。
コメント、たくさんありがとうございます!英国のサンダーソンなんて、日本では全然知られていないと思っていたら、コメントを下さった方々は、既にファンでおられたのですね!失礼しました。
でも、嬉しい! ガーデニング(エクステリアデザイン)やインテリアデザインというだけでなく、暮らし全部をクリエイティブに楽しく前向きに過ごしおられる方々がこんなにたくさんおられるという事実に!
本当に、ブログは直に率直なコメントが戴けるので、それが凄い励みになります。共感を戴けると、本当に嬉しいです。誉めてもらえるのも本当に嬉しい! まあ、苦言は本質を突いているとしても、耳が痛いけれど。
さて、左の男性は英国の売れっ子インテリアデザイナーです。ミセスの取材で、彼のデザインしたクライアントのお部屋を見せてもらいました。左のカーテンの上部に赤いアクセントがありますが、これはクライアントが以前の家から持ち込んだふるいカーテンの再利用。天井の高さが違ったのでデザイン的に調和するよう、同系色で別布を継ぎ足したのだそう。
一定のクオリティのカーテンはドレープを3倍以上は取りますし、メートルあたりの単価も安くないので、ひとつの窓に対し「今年はカーテンのために、夏のバカンスを我慢するかー」みたいな金額がかかります。なので普通は一度つけると数年は替えない。英国では、中古のカーテンの売買も盛んですが、サイズが合わないときはどうするのかと思っていたら「この手があったか」。と、えらく感心。西洋人の布にかける情熱はものすごいものがあります。
さて、これは我が家。一番最初に付けたカーテンも、マナトレーディングで注文。ヴェルディという製品で、何万種とあるのなかでは、比較的安いものです。当時で、メートル¥8600ー。メートルあたり、3万、5万は当たり前というのを山ほど見て来たので、値段のわりに質が高くて、今も柄や素材(綿100%)には満足ですが....。
実は、築5年以上が過ぎるまで、ほとんどの部屋にカーテンを付けていなかった話は、ミセス誌のカーテン特集(特集を契機にほとんどに付けた)でも書いたのですが、それは、予算のかかることなので「とりあえず」付けないで「コレ!」と思うものに会うまでは、我慢して過ごそうという「主義」のたまものでもありました。で、あわよくば、このままとりあえず、付けないで一生過ごそうかとも思っていましたが、どうも....、カーテンの神髄が、日本人は(自分も含め)わかってない!ので、もっと研究しないとダテに着けられぬ。というのもありました。
で、ほらーっ!我が家のこのアイボリーのカーテンは生地は素敵ではありますが、上の方の英国の仕立てと比べると、やっぱりボリュームが足りないんです。あっさりとお茶漬けみたいに仕上がってしまった。我々が、オーダーの仕方を、まだまだわかってないな、と、反省した次第。
写真は「スワッチ」と呼ばれるサンプル生地を貼付けて5年間腕組みしていたときのもの。(カーテンのことでは、つい熱くなるのですが明日に続く)
October 11, 2010
若い頃は花柄が苦手だった。カーテンは無地に限ると思っていたし、白黒グレーが私の生活基本色だった。しかし、西洋の暮らしの神髄を知りたいと思って英国に移住したころには、宗派変更。
写真はロンドンのサンダーソン社ショウルーム。こなれたデザインに感心しきり。この、イスの色違いとか、クッションの置き方とか、色彩の配置が心憎い。決して甘いデザインではない。
もちろん、個人的に好きな花柄とそうでないのはあるはず。しかし「花のある暮らし」は文字通り、華やかな活気を提供してくれる。おそらく、冬が長い英国では、人間の生理的、本能的な欲求からもこうした表現が求められたのだと思う。
花だけではない。植物全般の表現が素晴らしい。
たとえば、透明感ある緑色が室内にもたらされると、実際に部屋のなかに瑞々しい植物があるように感じられるから不思議だ。
すなわち、これは単なる模様ではない。ということがわかってくる。
ストライプとかチェックも好きだが、植物の模様をインテリアに取り込むのは、生理的にも実際の植物が家の中にある感覚に近いものがあるように思えてならない。
もっとも、その植物柄の表現が上質でなくてはいけないけれど。
庭の世界、そこで英国人の右にでるものはないと思われる。
独特の世界感を持つ。やはり庭の国、イングランドなのである。
ところで、このかわいらしい左の絵はサンダーソンのアーカイブスで見つけたテキスタイルの原画。現在は絶版。
美術館の絵画鑑賞は素晴らしいけれど、カーテンの生地は買うこともできるので、眺めていると興奮してきます。
それでいままでずっと、無意味に1m程度で買った生地を使って、今まさに、作品を作ろう!と、いうわけです。それが、カルトナージュ。
......続く。