朝夕に.....
朝夕に草木を吾れの友とせば
心淋しき折ふしもなし
これは
軽井沢植物園へ伺った際、植物園の佐藤邦雄園長から
頂いたサインです。園長が監修された「軽井沢植物園の花」
という本は私が軽井沢に住むつもりで購入した
軽井沢の植生を知るのにうってつけの本でした。
園長は、大正2年のお生まれで植物学も人生も大先輩。
しかしながら、心のこもったサインで
直後の美智子皇后のご訪問を控え大忙しだった
にもかかわらず、丁重な対応をしてくださった
事が忘れられません。
そして、そこには上記のように
植物学者 牧野富太郎博士の短歌も添えられました。
もう何年も前のことですが、この一節を園長から教わって以来
私にとっても、一生の座右の銘になると思っていました。
余談ですが、牧野博士の書き記したものには、心をうつものが
たくさんあります。
わが姿たとえ翁と見ゆるとも
心はいつも花の真盛り ...これが私なら
わが姿たとえ婆と見ゆるとも
心はいつも花の真盛り
これだけで元気がでます。
脱線してしまいましたが、
イギリスから帰国した直後、東京以外の場所で土地探しをしていた
私たちに「軽井沢にしなさいよ」と勧めてくれたのが、
作曲家の加藤和彦さんでした。
初めてお会いしたのは、今からもう十数年前のことです。
ビートルズのアルバムで有名な
ロンドンのアビーロードスタジオの中でした。
若き日の友人、世界的なソプラノ歌手
中丸美千繪さんがアルバムを収録していたのです。
思い出話が溢れてきますが、ここでは割愛。
ある夏の日、右も左もわからない、初めての軽井沢の土地探しに
丸一日付き合ってくださったのです。
軽井沢でアイボリーのランドローバーを駆る加藤和彦さんは
背が高くて、エレガントな英国紳士そのものでした。
最高にセンスの良いジェントルマン、本当の意味で
繊細な、お優しい方だったと思います。
しかし私は、お世話になるばかりで、何もお返しができなかった。
お話が本当におもしろくて、普通の日本人にはできない経験を
ヨーロッパで、たくさんしていらした。
その逸話だけで本が書けたはず。
ニュースを知って以来、あまりにも憶う事が多すぎ...。
いろいろ迷ったのですが、この場を借り
本当に素晴しい方だったこと。お伝えしたく。
心からの感謝を込めて....ご冥福を祈ります。