December 2009
December 28, 2009
7度目の訪問となったベネチア。この希有に美しい街を
息子に見せたくて。そして、この度、初めてゴンドラに乗った。
かなり、息子にせがまれて。それまでは「こんなもの恥ずかしい」と
思い、乗ったことがなかった。
でも、これは記憶の宝、冥途の土産となった。
「30分で100ユーロ」は、確かに高いけれど、
「記憶の宝」の価格としては、妥当なのかもしれない。
20年前、母とベネチア旅行をした。
乗り合いの水上バスで、生粋のベネチアっ子というおじいさんと
意気投合、当時凝っていたデタラメなイタリア語で、
なんとか会話ができた。ゴンドラに乗せてくれるという。
「信用してみようか」おじいちゃんの顔が福の神みたいだったので
その親切心を真に受けた。
で、次の朝ホテルの船着き場に迎えに来たのは、ボロボロの木船だった。
半日ほど、彼の手こぎボートに乗せてもらってベネチア巡り。
ボートはサンマルコ地区を離れ、観光客のいない
カンナレッジョ、キャステッロ地区へ。
ひっそりと静まり返った狭い運河を「チャポン、チャポン」。
木製の櫓をこぐ水音だけが、シンと静まり返った中世の景色に響いた。
流れるように進むベネチアの景色は、夢の中のようだ。
おじいさんはこのベネチアの美しさが自慢で、
見ず知らずの東洋人の私たち母子に何の礼も求めず案内してくれた。
実は、それまでのイタリア旅行で、詐欺タクシーなどにも出会い
私たちにも、警戒心や若干の覚悟はあったのだが。
それにしても、光の変化でその都度見え方が変わる中世の建築群
と運河の瑪瑙色。水路の街の風景は特別だ。
これは運河の多いアムステルダムにも言えることだけれど、
空からの光が水路に反射し、2重の光源を放つことで、
見えている景色の光の効果がまるで劇場のライティングのようになる。
(美人顔を撮影するとき、レフ板を下から煽るのと似た効果ね)
このとき、このおじいさんに連れて行ってもらった
バール(立ち飲み居酒屋)の総菜がやたらに美味しくて、
もう嘘みたいに安くて、すごく感動したのだが、今では場所もわからず。
あのネッロじいちゃんとの連絡も途絶えてしまった。ごめんなさい。
でもずっと覚えている。
ゴンドラには、モーター付きの水上タクシーや
乗り合い水上バスのヴァポレットでは味わえない
最高のトランキュリティと特別なラグジャリーがある。
だからこそ、おしゃれをして乗りたい。
ただ、私が今までゴンドラを避けていた理由は、気恥ずかしいだけではない。
その料金の不透明さにもあった。値段表がないし、詐欺まがいの話も聞いた。
料金は常に交渉次第。それが面倒!
そこで、今回は息子のリクエストもあったので、
滞在中の5日間の間、ベネチア中を歩き回りながら、ゴンドリエをチェックして回った。
どの人に、どの場所から、乗せてもらおうか。
誰にどのコースを回ってもらうかでも印象が全然違うはず…。
どこへ行っても「このゴンドラにしようよ!」とうるさい息子。
私はさまざまな理由をつけてゴンドラを回避した。
「この人はハンサムじゃないから駄目」
ハンサムなゴンドリエを数カ所で発見済みだったからだ。
イタリアにはいい男が多い。
「この船のデザインがいまいち」ゴンドラにもいろんなデザインがある。
どうせなら華麗なゴンドラがいい。
「今の光は、いまいち」「ここから乗っても景色が…」
さまざまな言い訳をしながら歩いた、いよいよ最終日の夕方。
「ゴンドラに乗るならトワイライト」トワイライトの美しさについては息子に説明済みだった。
彼も賛成してくれた。どこの景色も日暮れ時の景色は美しい。
リアルト橋にさしかかって素晴らしい夕日が沈みかかった瞬間
「今が最後のトワイライトだよ!」息子が叫んだ。
本当だった。美しい夕暮れ。その瞬間、すぐそばのゴンドラ乗り場から
満足そうにゴンドラから降りてくる家族を見かけ、声をかけた。
「How much was it?」
相場といわれている30分100ユーロだった。
それにその家族は「とてもいい人だったわよ」とも.....。
即決現金払いであった。
本当に良かった。息子に「ゴンドラに乗せてくれて、ありがとう」と何度も..。
良かった!
次の夢が決まった。カルナバーレの期間に、
仮面コスプレ(一度やりたい中世の貴婦人)をしてゴンドラに乗ること!
思えば、1983年2月に初めてベネチアを訪ね、
それがカルナバーレの最中であった。そのことを知らなかったので、驚いた。
街じゅうに華麗な仮装装束の人々が溢れていたのだ。
中世の貴族の装束の人々が、薄暗い中世の街を、カンテラ片手に歩いている。
「ヴィスコンティの映画の中みたい!」
心酔したのがベネチア通いの始まりだったと思う。
(プンタネラドガーナ美術館からの眺め、凄かった)
でも、なんとなくここへ来れたのではない。
いつだって気合いとド根性で、遠いヨーロッパ旅行を実行している。
今回もそう。このスタミナ、いつまで続くだろうか。
人生の半世紀をすぎて、たまに、ふっと淋しい気持ちのすることがある。
ホテルをチェックアウト後水上タクシーでサンタルチア駅へ。
これからフィレンツェへ。
いいえ、これからも気合いたっぷりで旅を続けましょう!
December 26, 2009
旅の支度、案外時間を取られます。また、
若い時にくらべて、マダムはとても時間がかかるようになってます。
荷物を減らすコツは、メモ帳などに必要最小限のリストを作って
それ以上増やさないこと。メモがないと、要らないものが
どんどん鞄に入ってしまいます。すると移動で辛い思いをします。
若き日々は、出たとこ勝負の着たきりスズメで旅ができた。
成田を出るときは、ほとんどの空っぽのスーツケースで。
常備薬も、化粧品も、現地調達が基本。どこへ行くにも
黒い、動きやすい服で。
しかし、それには私、反省がありました。
西洋では、顔色の濁った印象の東洋人(特に私は、日焼けして
顔色がくすんでいる)色彩的に汚れて見え
ショウウインドウに映った自分を見て愕然とするんです。
西洋を旅する時は、努めて明るい色を。
それがレストランやブティックで
感じのよい対応をしてもらう秘訣。 服の色彩、おしゃれ度で
まわりの対応が全然違う。ーーー高尾山に行くようなスタイルで
シャンゼリゼを歩かないで! と、つくづく思う。
なので、服のTPOがかなり気になり、ハイヒール&夜のお出かけ用
昼だって、明るい色のバリエーションが必要。
常備薬(サプリも含む)化粧雑貨、電気製品、
いろいろの持ち物があって、すぐに20キロ。それでは、
買い物もできないし、移動も大変だ。
10キロ以内に制限するのに、かなりの時間がかかる。
旅程が5日だろうが10日だろうが、2週間だろうが
服は、移動で着る服以外に2種類までにしぼる。
軽い素材で。明るい色で。軽く明るく!
スカーフなどでイメージの変化が出るよう工夫する。
下着靴下類は、手洗い基本の最小限。海外のホテル、冬の場合は
一晩で乾く。個人旅行は時間が自由なので、
足りなければ、いつでも買いに行ける。
でも、海外ロケのときはそうも行かず、場面に合わせて
多めにそろえる。自由時間はほとんどないので、買い物もできない。
最初から、27キロほどの荷物で出発。お迎えの車やスタッフが
いるから自分では持ち上げられなくても大丈夫。仕事だから。
今回は、個人旅行。移動が多いので、とにかく減らした。コートなんて
毎日同じ。気分は飽きるけれど、ずっと同じ街にいる訳でなし。
ところが、出発前にヨーロッパに大寒波のニュース。
厚手の手袋、毛皮の帽子、ホカロン、ヒート系下着上下、子供の分も。
などと、余計な要素が、さらにさらに増えた。
でも、実際は、氷点下ではない。空港、列車内など
屋根のある場所で大汗。足らないくらいで丁度良いのだ。
さて、あるときラジオの放送で、イタリア人から聞いた話。
「日本人が固まっている景色は黒っぽくて、輝きがない」って。
その「輝き」ってのをイタリア流に「ブリリアンテ」といってた。
そうかもなあ。と、その言葉が、私の心に響いた。
イタリア人って、明るく濁りのない肌色に軽妙な合わせた
おしゃれがうまい。おじさんも、ベイジュのコートを美しく着る。
マダムは、真っ赤なスカーフなどを上手にあわせる。
パリやベルギー、ドイツの街では、灰色の服も良いのだけれども
南仏やイタリアって、どうも、ブリリアントな色彩だなと。
ところがそんな色彩を東京で着ると、これまた似合わないのだ。
ずっと前、イタリアを1ヶ月ほど旅したとき、
ピンクの皮のコートを買ってしまい、これが東京で×だった。
ハワイで似合う服も、日本では×。ハワイの服はハワイで。
とはいえ、年を取るほど、明るくて派手な色の服を着るよう
ブリリアンテな色彩を自分のなかに取り入れるよう、
努力はしたほうが良いとは思っているんです。
これまた、服選びも楽な方へ、転びがちなので。
日本人の着物のセンス。素晴らしいのに、おばあさんの着物は
ネズミ色って、誰が決めたの! おばあさんは奇麗な色を着よう。
2010年は、珊瑚色で行く!服も口紅も!そして、補色にグレー
を合わせるなどして膨張色とのバランスを。
December 25, 2009
12月24日、朝11時にドイツ、ニュルンベルグのホテルを出発。
タクシー、列車、飛行機、水上タクシーを乗り継ぎ、20時到着。
この移動は長く複雑で辛かった。
でも、楽をしていては、本当のやりたいこと、感動には出会えない。
そこは”もうひと踏ん張り”と、気合いを入れて。
でも、ここへ着いてホッとしたーーー。
(しかし、ベネチアのホテルを選ぶ時は、船着き場付きの
ホテルじゃない場合、大きな荷物を持って結構歩くはめに。
フローラは内陸になるので、土砂降りの中、水上タクシーを
降りてから、荷物をゴロゴロ。情けなかった)
本当は、もっともっとドイツに滞在したかったのだけれども、
無理矢理ベネチアへ来たわけは.....。
クリスマスのドイツは、観光客にとって、かなり厳しい。
24,25,26日、とにかくすべての店が閉まり、
食事にも事欠くイメージが。(いまの時代は
だいぶましかもしれないけれど)
以前、なんどかドイツやオーストリアでクリスマスを過ごして、
ドイツ語圏のクリスマスその日は、本気の安息で、懲り懲り。
ロンドンも、同じ。ロンドンで6度のクリスマスを過ごした。
地下鉄やバスも止まり、タクシーさえ難しい。
クリスマスに開いているのは、中華街とインド料理屋のみ。
それに比べて、ベネチアなら、世界に冠たる観光地。
ただ一日中散歩だけで過ごしても、和めるはず。
そういう判断があって
ドイツに心を残しながらも移動した。それは正解だったと思う。
11歳の息子でさえ「絵のなかを歩いてるみたいだね」
という。本当に美しい。今日は300枚以上も写真を撮った。
そして、美味しいレストランもそこそこ、開いている。
ずっと食べたかった蛸のサラダ、烏賊墨のリゾットでランチ。
ちょっと疲れているので、軽いもので済まして正解。イカタコ攻めだ。
ディナーは、年中無休のハリーズバーで。
欲しかったお土産の仮面も買えた。値段も手頃。
(6〜25ユーロ)
そして、なによりも素晴らしいのは、観光客の少なさ。
白昼夢みたいな静けさだ。リラックスして
行き交う地元のおじさんやおばさんと「ボン・ナターレ!」と
クリスマスの挨拶をかわす。幸せな時間だった。
そんな、53歳の誕生日でした。
この突き当たりが、ホテルフローラ。
昨日の夜は、海水がこの小径にも溢れてきた。すぐ横にある
ブルガリやシャネルの店にも水が入って床上浸水。聞きしに勝る。
それにしても、時差ぼけがひどくて夜眠れず
冴えない顔してますが、今日に感謝。かなり寒いです。
December 24, 2009
25年ほど前に来たときと同じ!
以前にも増して、オーガニックな食品、ドイツらしいものに
力が入っているような気がする。いえこちらが年をとって
これらのものに、デリケイトに反応するせいか。
常にマーケットのあるエリアを回っている馬車の美しいこと。
馬のにおいと馬車の車輪の軋む音と石畳。
私は中世に、ここにいたかもと、懐かしい勘違いを。
探しにきたのは、これです!
このお店は特に充実。穀物の精霊が宿るといわれる麦飾りは
多くが、星と太陽を模した形です。
来年の星の王子のクリスマスに飾りたくて、ほぼ全種類を
大人買い。めちゃくちゃなドイツ語と英語を混ぜて
値下げ交渉をするが、相手は頑固なドイツ人、頑として譲らず。
最初から安いんだから、だめ!だって。
ああ、宿り木!青灰色のモミも市場の定番。
洗練されたクリスマスデコレーションのお店を発見!ここで、玉砕。
ドイツの郵便局から荷物を送ることを決めていたので
ここでも荷物の重さを気にせず購入。
限りない種類の飾り、飾り。だんだん麻痺して購買能力がなくなる。
ニュルンベルグは木工の名産地でもあります。
紙や薄いプラスティックで星のランタン。これの白を購入。
折り畳めばペタンコになるのでオフシーズンも上手に仕舞える。
聖夜の木工人形。お顔が上品。
薄いガラス製の飾りも何千種類?
さあ、郵便局からここで買ったものを盛大に送ることに。
すべてのお店や銀行など、24日の正午までが営業時間。
ドイツの郵便局は確実で、局員もたいてい英語ができるので
安心して物が日本に送れます。
午後7時、フランクフルトに到着
ホテルから歩いてクリスマスマルクトへ行きました。
でも、私としては、ニュルンベルグのほうが好き。
12月23日の朝9時にホテルをチェックアウト、
タクシーでフランクフルト中央駅へ。
9:56発のインタシティ、ミュンヘン行きを探す。
発車番線がわかってからも、乗車の車両号車がわからず、
ウロウロ、遅れて到着したので、実は飛び乗るはめに、
子連れなので、ハラハラしながら、フランクフルトから
ニュルンベルグへインターシティで移動。
写真の余裕の態度は、別の列車に借りに乗ってみたところ。
だが、その直後にこの列車が音もなく扉を締め、発車。
一瞬青ざめた私。撮影は息子。
ところで、思いっ切り、暖かいイデタチでドイツに来た。それで大汗。
大寒波ってどこの話? というほど、昨日今日が暖かいのです。
それにしても、東京の自宅で夕食の後に
インターネットでドイツ鉄道のHPで予約し
自宅でプリントアウトしたチケットで、
この列車に乗っていることの不思議???凄い時代です。
ドイッチェ・バーン(DB)の車内レストランのメニューは
感動的に美味しい。ニュルンベルガー・ソーセージやフランクフルター
いずれも完璧、そして、ピルスナー(ドイツの生ビール)も。