June 2010
June 23, 2010
お庭が狭いのに、いろいろと植えすぎてしまって、要らないような気がして鬱陶しいと感じる方へ「この植物、どうも私の庭に良くなかった」 等々、反省を十分にしたら、私は、まずは、貰い手を探す。あるいは、非営利団体のバザーに持参したことも(そこのバザーの項目に植木、植物募集とあったので)。
いずれも、秋の落葉後、2月までに抜根、プラの植木鉢に植え直し、自分が昔欲しいと思った見た目に近づける。しかし、それは、面倒。なかなか貰い手もいないとなったら、仕方がない。頭の方から切り戻して、根っこを掘って、土を落として、消却ゴミにするほかありません。「いままでありがとう」雰囲気によっては「ごめんね」と、心を込めて。
命ある植物を断つのは辛いけれども、仕方のないこともあります。植物の仕事をしていると、それはもう、そんなことだらけ。江戸時代から続く植木屋さんが、年に一度、植物供養祭をすると聞いて、素晴らしいことだと思いました。私は大きな樹木を工事などで触るときは塩やお神酒を用意することがあります。命あるものへの敬意。しかし、そうはいっても限界もあります。あまり考え過ぎても、体に悪い。気合いを入れてエイやっと。その時だけです。次の日、次の週には、別の、すっきりとした人生が始まっているはずです。植物は「3年後もここに欲しい!」と、思わなかったら、見切ることも必要だとは思います。見苦しくなった寄せ植えを処分するのも「ありがとね」そのあと一気に整理します。ああ〜、しかし、洋服も整理しなくてはいけません!今日は3着、などと日々目標を決めて。そして、その服をことを思い出さないように。イギリスで買った服などは、思い出があってなかなか難しいのです。でも、思い出を捨てるのではなく、モノを減らすと割り切って。
June 22, 2010
ルーフガーデンを作ることは、6年前、自宅を建てる段階で決めていたので、構造上の基礎はできていた。しかし、時間や予算が間に合わず、かなり遅れ、工事の着工が始まったのが去年の6月。私たちは毎年、秋から5月一杯が多忙期なので、自分のことはいつも後回し。その後も、作業は少しづつ....。実は今日の時点でも完成していない。でも、クリエーションのプロデューサー的役割もする本や雑誌の編集者と約束をして、完成形のできる日時を決めることで、他の仕事の山をくぐり抜けつつ無理をしてでも、肚をくくってフィニッシュする。
土地の値段の安い場所で、最低でも500坪、できれば2000坪の土地を探して庭を作るつもりが、私的事情で叶わず。では、限られた土地でも、家の構造を上手に使い庭を作ろう。地面に作る庭以外は、主に夫のアイデアによって「家をコンテナ」に見立てたプランをスタート。
窓辺のウインドウガーデン(横長のコンテナを設置するスペースを作っただけ)と、ベランダガーデン(コンクリートの逆梁構造で地植えのように見える)を作った。(詳しくは、集英社から刊行された拙著ご参照)
しかし、それにも、生態環境の限界は多い。
住宅密集地は、風通しが悪いので、どうしてもバーバスカムのような背の高い宿根草/二年草がうまく育たない。私は背の高くなる植物が大好きだ。でも、風の通りが悪い場所では、蒸れるか、支柱なしに植物が直立しない。風の通る場所では、背の高い植物が風に揺れながらも見事に直立する。広い庭でなくても、ルーフガーデンなら育つのではと、ずっと思っていた。昼間は厳しいけれども、暑い夏も、朝夕は居心地のいい屋上。360度の日当たりに恵まれ、丈夫に育つ。もちろん、屋上向きの品種を選ぶことも大切だが、そのバリエーションは幅広い。なので、今後の植物選びも楽しみでならない。写真は、去年の秋、苗から植えたバーバスカム。宿根草は、秋に植えて春までに根を張らせば、たいがい丈夫に育つけれども、関東の高温多湿で、夏越しは、甚だ微妙。バーバスカムは、この夏前に終わるかもしれない。ま、2年草だし。下の写真は、ミムラス、銅葉のカンナと合わせて植えたのだけれども、カンナは屋上ではあまりうまく育たない、風で葉っぱがビリビリに。低い位置で、小さくなっている。一階の玄関では2m近くになっているのに。
ただ、ひとつ、要注意なのが、用土。植物を育てる上で、もっとも大事な根っこの住処は、ルーフガーデン/ベランダ用に開発された土を使うこと。通常の培養土を使うと、重すぎたり、軽すぎたり、水持ちも水はけも、そのバランスが難しい。この先のメンテナンスや十年後のことを考えると、土のコストは、最初のコスト計算でもっとも削れない重要なポイントになると思う。ちなみに水持ちよく、水はけの良いこの用土では、去年の秋から4月下旬まで、一度も水道潅水はしないで、植物たちが生き延びた。バラも、一度も消毒しないで、今も青々した葉を付けている。しかし、梅雨は大敵。そろそろ、一度は薬を撒きたい。月に一度の散布を9月まで。
>写真下、屋上の植物たち、紫色の葉っぱは超丈夫なユーコミス(パイナップルリリー)、ユーフォルビアに帝王貝細工、白花のアガパンサス、黄色い葉のスモークツリーなど。日当たりや風通しが十分でないとユーコミスは、葉が倒れるのでやっかいですが、屋上で風に吹かれ強い日差しに当たっていると、色濃く頑丈に育って美しいです。葉の柔かな宿根草の脇に植えて、引き締め役に。
そして、根切り虫の発生が避けられないので、株元に少し。このところ、20匹以上は捕獲しているけれども、捕獲だけでは間に合わなくなってきた。ヨトウムシ他、毛虫系も続々登場。マメにチェックして捕獲しつつ、僅かながら薬を撒いておく。わが家は子犬がいるので、薬はなるべく撒かないようにしてきたけれども、さすがに被害が出始めているので、薬を置いたり撒いたあと場所には、子犬を出さないようにしています。これからは、人にも、犬にも、植物にも、ちょっとばかり、厳しい季節です。いずれにしても、ミセス誌10月号の最終撮影までに、素敵にしたい!(この気合いが大事!)
さて、掲載誌情報です。企業誌系では、DINOS フランボワーズ、すみしん「発見上手」、セキスイ「ハーモネート」誌など、雑誌連載も含め本屋さんにでているか、これからでるものは、BISES , ミセス , 園芸ガイド、クロワッサン・プレミアム、HERS , 集英社「 エクラ」, 日経BP「PRIV」など.....時々思うのです。頑張って書いても、気合い十分に登場しても、知られずに消えて行く雑誌記事のなんと多いことか。来週はイオンカードの会員誌MOMの対談で、古い友人、ファッションデザイナーの長沢陽一さんと奥様の田鶴子さんが来宅。長沢さんとは、27年前のパリで初めて会っている。若者がオジサン、オバサンになるのは、あっと言う間。庭がうっそうとするのもあっという間、きれいにしておかなくては! NHK教育「すてきにハンドメイド」は、おかげさまでアンコール放送が8月に決まりました。
June 21, 2010
この寄せ植えは、星の王子さまミュージアムで、今年3月17日に開催された RHSJ コンテナマスターによる作品です。私はこの作品が大好きで、この3ヶ月、見るたびに、惚れ惚れしてきました。なんというか、パワーがあるんです。
3月17日以降、雪が何度も降り、状態の悪くなってしまった作品も多かったなかで、この一作だけ、ずっときれいに残っていました。できれば、このまま2年くらい植えっぱなしで行きたいと思う作品で、実に綺麗なバランスです。植えた材料の中で、アイビー(サーク)はどこででも育ちますが、ユーフォルビアとティアレラの相性が相当良いのですね。また、左右対称に植えることに大きな意味を感じます。同じ品種を左右に入れると、左右の生長に大きな差がでません。ここで左右が違うと、そのバランスの取り方が難しくなりますが、建物に対して左右対称に二つ置かれたこの作品は遠くからみてもバランスがよくく、素晴しいです。
これも、ミュージアムのハンギング。マダム沼尻の作品。
完全な左右非対称で美しいのがこの作品。おなじく、RHSJマスターさんによって、4月27日に制作されました。
ペンステモンの植え付け時は
黒い葉っぱの小さな葉群だけでしたが、2ヶ月で1mほど生長。それでも、この作品だけはアジサイとのボリュームバランスで絶妙な美しさ。ヒューケラとキンギョソウのイエロー系の色彩バランスも完璧です。下に暗い黄色、上に明るい黄色で、明暗のバランスも抜群。
植え付けた直後も綺麗だったけれど、1〜2ヶ月が経過し、それがさらに綺麗になったとしたら、そのコンテナガーデンは、なかでもとびきりに素晴しい作品。私自身、いつだってそれを目指して作品を作るけれども、いつも思い通りにいくとは限らない。限られた材料のなかで、どこまでいけるか、そこにはやはり「念力」みたいなスパイスも必要だと思う。
さて!今日は、去年の5月にわが家の屋上工事が開始されて以来、初めての正式な撮影日。ミセス誌の誌上には、9月売りの10月号で、初お目見えの予定夕べからカメラマンスタッフが光の美しい早朝の様子を撮るべく、泊まっていたのですが、あいにくの天気で、今もまだスタンバイ(居眠り中)。私は彼らと息子に朝食を用意してからこのブログ。でも、こんな梅雨の最中でも、植物たちは、ほんとうに元気いっぱい!元気な植物に癒されていい写真が撮れそうです!というわけで、そのもようは明日にでも、アップしたいと思います。
June 20, 2010
東京より遅れること1ヶ月弱、私が愛を注いでいる、箱根 星の王子さまミュージアムの庭にバラが咲きはじめました。これはほぼ、イギリスと同じような開花タイミング。
それにしても、先日、草ぶえの丘のバラ園へ、野村和子さんを訪ね、その時に伺ったお言葉が、ずっと印象に残っています。「バラは、最初の5年までは、どうであれ育つ。勝負はその先...」ミスターローズとして知られる鈴木省三先生の教えだそうです。
ここのバラも、しっかりと面倒を見、立派にしたいものだと思っています。
とは、いえ、バラの庭は最低でも、3年は経過しないと未熟な感じが否めない。この日、6/16に、昨年の植え付以来、初めて見たのが、ピエール・ド・ロンサール・ルージュ。とても情熱的なルージュ色で、今後の生長が楽しみです。四季咲きと言われていますが、箱根では、この一年で咲いたのはこれが初めて。
.....さて、私がデザインする庭では、メインの花を植えた、その背景を何色の植物にするのか。そのことにも、かなりのエネルギーを注いでいます。たとえば、上記の赤いツルバラの場合は、背後に見える黄色い葉群を意識して構成。
さらにその背景も近寄ってみると、黄色い葉群のなかに、小さなオレンジの花を植えたりと芸が細かい(笑)。たとえば、このカカリア(写真左)は、初夏から秋まで繰り返しよく咲く一年草ですが、箱根のような高地(ハイランド)では 、光の色温が低いので、赤やオレンジの花が美しいハレーションを起こしながら風に揺れるさまが素晴しいのです。
青い花、赤い花、それぞれが、海抜の低い地域で眺めるのとは、全く違って見えます。ですから、箱根では、私も意識して、庭のなかにアクセントとなるハレーション色を植え付けています。見学で訪れた方が、その「色彩の違い」が楽しめるように。しかし、その背景になる植物は、くすんだシックな色調にするのもポイント。メリハリがないとうるさくなるからです。そのためには、安定して静かな表情をしているヒューケラなどが大変便利です。
去年の秋に植えた宿根草で、徐々に大きく育っているアストランチアは、個人的にも大好きな花です。しかし、花も葉も、パラパラとした質感なので、それを引き立てるためには、これまた、背景が大切になります。そのためにも、まとまり感のあるヒューケラが便利なのですが、ワンパターンになるのを恐れてよく悩んでいます。
しかし、今年の秋は、アストランチアのコレクションをもっと増やしたい。土に湿気が多く曇り空の多い、箱根の気候によくあっているからです。
実際にそこの生態環境にあっているかどうかは、最初は、わからない。今までの経験と創造力が頼り。しかし、あとは、どうしても、実際にやってみないとわからないですね。とにかく、やってみることです。
生きている限りは、労力や少しのお金も使って、ひたすら経験を積むことに価値あり。と、考えます。
June 17, 2010
コメントをいろいろ戴きありがとうございます。で、アリウムギンガチウム、一球を植える際鉢のサイズはどれくらいですか?と、ご質問を頂きました。
私は直径30センチほどの大きな植木鉢を使っています。そこまで大きい必要もないのですが、花芽を付け始めるころに乾かすのが怖くて、大きな鉢にしています。それで毎年、アリウムの球根を植えるときには、ほかにも植物を一緒に植えています。ただ、その先の年は、もう咲かない(梅雨が大敵なので、球根も一年草扱い。ただし、アリウムの小球、’丹頂’などは植えっぱなしでも2〜3年目までくらいは花がつきます。ギガンチュームは一回こっきりの可能性が大きいです)寄せ植えするなら、早春、あの大きなアリウムの葉っぱがでている間も絵になる植物を入れると良いですね。パンジーよりもさらに小さなバコパみたいな花が似合うと思います。
余談ですが、トリテレイアもおすすめです。ブローディアの名前でも流通しています。去年、バラとガーデニングショウで使ったトリテレイア ’スターライト’ を、花後、ためしに屋上の土のなかに埋めておいたら、今年も平気な顔してでてきました。アリウム同様、花後は葉っぱも消えてしまうし、どうなるかと思いましたが、嬉しかった! アリウムに似たネギ科の球根です。写真は、今年の5月、屋上で咲いたところを撮ったものです。秋に球根で売り出されます。ほかにブルーやライラック色系の色もかわいいです。コメントでもいただいていた「ガーデンさかもと」さんのトリテレイアの品揃えはなかなかのものですね。
それから、靴のブランドのご質問をいただきました。「旅支度 人生のアップグレード」にでてきた一番手前の銀の靴は、英国の靴のデザイナーで、ルパード・サンダーソンです。
http://www.rupertsanderson.co.uk/
ベイジュの、バラの花付きのフラットシューズは、バレンチノですが、いずれも、ロンドンのハロッズで買いました。ベイジュの靴はそうとういろいろな洋服に合うので、便利です。自分の肌色にあったものがおすすめ。それから、ずっと以前に私が履いていた紫色のニーハイ・ブーツはどこのブランド?というご質問もいただきましたが、これは、同じくロンドンのセルフリッジスのバーゲンでナインウエストのものでした。日本で買い物をする時間も、私のような大きなサイズもなかなかないので、買った先がそんなことですみません。