November 2010
November 23, 2010
先日のサンダーソン展に因む記念イベントで、私がお話したこと。少し文章にして残しておきたいと思い、ブログへ。その後、多くの参加者さまから、ありがたい感動のリアクションをいただき、嬉しいかぎりです。
このイベントは英国サンダーソン社の創立150周年を記念したイベントでしたが、私が英国のテキスタイルデザインに関しては「好きだ」という以外に、たいした事情もわからぬままにトークショウを引き受けてしまった手前、どうするべきかと、150年前のイギリスと日本を比較してみるところから調べものが始まりました。1時間でみっちり話したことを文章化するには、その何十倍もの時間がかかりそうですが、参加できなかった方々のためにもトライしてみます。おつきあいくだされたら嬉しいです。
今から150年前といえば1860年です。坂本龍馬の暗殺が1867年ですから、幕末の日本が倒幕騒ぎで動乱しているときに、すでに英国では中産階級向けの室内装飾のための美しいファブリックがデザインされ商品化されていたというわけです。モリス商会の創立が1861年、その頃、最初にデザインされたのが、この写真の"デイジー"タイル。
このとき立ち上がったアーツ&クラフツ運動は、産業革命の反動として大量生産に対する「手作りの工芸作品」を擁護するだけでなく、工場地化、宅地化で失われて行った自然への保護運動の意味も含まれ、いわばこのデージーは、ただのかわいらしい花柄というだけでなく、英国のネイティブプランツとしての象徴の意味も込めらたのだそうです。モリスは「花にも下品な色がある」と言っています。園芸品種で改良されたけばけばしい色彩のゼラニウムを非難する一方、野生植物にけばけばしい色はなく天性の気品を備える、と指摘します。写真は5月の森に咲くブルーベル。
バラの花に止まるコガネムシを見るとおぞましい気持ちのする私ですが、この模様の中には、ツグミもいます。今にもバラの葉っぱにいる何かを食べるような。(写真一番上)「本物の園芸家は野鳥への思いを馳せる」とモリスはいいます。野鳥が害虫を食べてくれることをモリスはこの時代から唱えていたのです。このことから、このバラの絡まるトレリス柄には、人工のトレリスとオーガニックな自然の循環がさりげなく描かれ、サステイナブルなエコロジーが描かれていることがわかります。
花柄に鳥。「花鳥風月」は日本の伝統柄ですが、この英国の室内装飾の模様の中には、原生フローラが咲き、それを目指して虫が集まり、それを狙う野鳥の図が描かれ、自然界の天昇輪廻というと大げさでしょうけれど、理想の循環が描かれているのです。私もいろいろと文献を調べてみるまではわからなかったのですが、ただの模様ではないということがわかってきて感動でした。
モリスは「ここに人間が住む以前(イギリスの産業革命以前)、大地には、豊かに草花樹木が茂っていたことを忘れるべきでない」とも。
英国の暮らしにおける「花柄」。それは、ただのかわいい模様ではなく、自然に対するリスペクトでもあったのです。
さらに「日常生活の芸術こそが芸術のもっとも偉大な側面である」と語るモリスに多大な影響を受けたのが、かのガートルード・ジーキル、花の庭のカラースキーム、イングリッシュガーデンを生みだしたその人でした。
さて長くなるので、この拙い文章の修正と続きはまた明日にでも、今日はこれより子どもと映画館へ。ハリーポッターを観にいきます。その後の「おめでとう」と激励のコメントありがとうございました。......日本の園芸術文化向上を目指して!
今日は勤労感謝の日に相応しく久々の休日!このところずっと週末は講演会の他、朝からアポイントに追われていたので、のんびりの土日がなかった。で、せっかく皆さんにガーデニング部門ランキングで一位にしてもらったのだから、まじめなガーデニングの話題にすべきですが、休みの日は仕事を忘れさせて。(じゃ休めば?って声が聞こえそう)恐縮。
さて、草花が好きな人は、動物も好き。これは、イギリスで出会ったさまざまなガーデナーの(イギリス人は元来動物好きだけれど)の共通した見解で、私も大の動物好きだ。そして、私のブログを訪ねてくれる方も少なからず動物好き、との手応え。
イギリスに住んで間もない頃、個人的な好みから、いつかイギリスの犬や猫の写真集を出そうと思い、イギリスの公園へ行っては犬の写真を撮らせてもらったり、ナーサリーでは猫の写真を撮っていたのだが、その志は「英国ガーデン日記」の出版へと情熱が傾いたのでいつのまにか忘れ去られた。しかし、「英国ガーデン日記」に犬や猫の描写が結構入っていることにお気づきだろうか。でも当時、某有名流通企業の部長に、ガーデニングブームとペットブームは必ず来るから準備をしておいて。と、言っておいたのに。それも忘れ去られた。92年頃の事。
手相の「ソロモンの輪」ってご存じですか?人差し指の付け根を取り囲むようにして現れる線です。 20年以上も前、友人でテソーミの日笠雅水さんから「ソロモンの輪がある」と指摘され、それが彼女によれば動植物と気持ちが通じる相なんだそうで、私には左右にあります。(別の手相鑑は別のことをいいますが)ずっと気になっていたんですが、それが最近目立つように。(昔はもっと薄かった)植物や動物の心って、あると思うので、それがなんとなくわかるっていうのはちょっと嬉しい。それで、最近またマーコに逢いたいのに、彼女忙しそうだ。
話題戻し。実は最近、愛犬カブちゃんのイラストを仕事帰りの新幹線などで描いております。今までの人生の10年強をグラフィックデザイナーだったときもあった私、でもその時代はパソコンが存在しなかった。で、今パソコンで作るグラフィック、ようよういじり始めている。いまさら遅いけど。
話題をガーデニングからそらすと、またお叱りを受けそうではありますが、実はずっと犬の話題をしてみたかったんです。ほんのたまのことだとは思いますが....。多様な興味で創り出される、尽きない人生への興味であります。しかし今、ずっと必死でガーデニングの本を書いているので、似たようなことをブログで書くのがシンドイのだと思う。ブログは誰にとっても息抜きになるのもいいですよね。(2月に「寄せ植え決定版!」の本だします!)テーマカラーをREDにしたのは、最近の私のトレンドカラー。どうも年末になるとRED.です。春になったらイエローブルになるかもしれないですね。イエローカブちゃんです。
でも、グリーンカブもあるかと思う。
November 22, 2010
多くの皆様に
「?WHY何故?」 という疑問を投げながら突如始まったランキング。私自身はこの手のことにはぼぅ〜としてアイデア無し、ランキングはスポンサー様のアイデアだった訳ですが、どうなるかと思ったら善意の塊(かたまり)が大集合して1位にしていただき恐縮です。それに伴い一日のアクセスも2000を超えて、嬉しいような不安なような。お祝いのコメントもたくさん戴き、北海道のブレインズ様やTちゃん(え!今日イタリアに立つっていうのに、私のブログ見てるの?)いつも元気のでるコメントをたくさん下さる皆様、ありがとうございます。フェアリーたちが私に代わって、ご挨拶させていただく次第です。
この子たち、字がヘタでスミマセン。(マウスで字を書くの苦手)いろいろと思うところもありますが、責任をもって「正しい英国式美意識」を広めていけるとありがたいです。おおやけの本や雑誌、テレビでは発表できないことを、好きに書けるのが嬉しいブログ、次の創作の原動力にもなる。それもこれも、みなさまのおかげ。ご協力ありがとうございます。
日本の光線に比べるとヨーロッパの光は、弱い、ソフト、クール、そんな印象です。天井が高いとその光の巡り方がまた美しく。あんな光が射すからあんなインテリアなんでしょ。って以前は諦めの気分で思っていました。(でも3.15でだいぶ解決)南仏の夕方なんて、ピンクとブルーグレーの色素粒子がキラキラ空中で輝いているみたいなんです。(ところで、NHK大河ドラマの龍馬伝の画像、いつも綺麗だと思って感心しているのですが、役者さんやセットにコーンスターチを激撒きしてるそう。あの埃っぽい感じこそが、動く劇画を実現してる。今月で終わってしまうので落ち込む。先日、NHKのプロデューサーさんにお会いした時「龍馬伝の庭」を国バラでやるのはどうですか?とお聞きましたが、どうもバラには無理があるようで)また話がそれました。最近オバさん度100%、話がどんどん飛んでスミマセン。
30年ほど前、初めてパリ郊外のバルビゾンへ。そこはまるで印象派の絵画のままの景色です。たとえば、夕方、ひたすら畑の広がる場所へ。そこはまるでミレーの晩鐘のまま。「なーんだぁ!ミレーさんたら、見たままを描いただけだったの」と、思わず、絵画ファンに怒られそうな発言をしたことがあります。だって本当に同じ。それでも、その景色は、私が生まれて初めて見た、本当に絵画的に美しい光でした。そして、その光は明らかに日本のそれと違う。
英国が世界で最初に自然保護運動を始めた、という事実を皮切りにWモリス、Gジーキルとイングリッシュガーデン誕生のストーリーがありますが、実はミレーこそが、世界で最初に自然保護運動をした人物だったのですって。先日、NHKの日曜美術館で知りました。
光は、都会のコンクリートジャングルで見るよりも、空や海、緑の多い空間でみると美しいものです。空色や緑の反射光により透明感のある黄金色になるから。なので、どうやら、東京都心で生まれ育った私は、ジェヌインな美しい大自然の中の斜光を知らなかったみたいなんです。25歳くらいで初めてヨーロッパに行くまで。
自然が豊かで空の広い、しかも緯度が高い北海道へ行くと、ヨーロッパの光に良く似ていて感動します。美しい光の下で暮らしたかったら、やはり北海道か
一挙に書いたので文章が右往左往しました。私とおしゃべりしてると思って許してくださいね。あっちこっち飛んでもう大変です。それで何を話したかったのか、すぐに忘れる。
さてと、美しい日本の秋の夕方、丁寧に入れたお茶でも飲みながら、坂本龍一さんのピアノ、大貫妙子さんの歌声で「美貌の青空」を聞きながら、優雅な時間をお過ごしになってはいかがでしょう。この「UTAU」というアルバムは、先日夫にもらったんですが、アルバム全体も素敵で、”FLOWER”という曲や”赤とんぼ”も、庭女子にぴったり。ちなみに80年代、夫が坂本さんの「未來派野郎」を、私が大貫さんの「Coming soon」というアルバムをデザインし、あれから25年ほどが経過。それでも大貫さんの声、今も変わらず透明で美しいので感動でした。
写真はバターのナスタチューム添えに夏のイギリスの夕日が当たったところ。カメラはこのときはコンタックスの一眼レフ、当然レンズはツァイスです。今はキャノンのオートボーイデジカメとリコーのコンパクトカメラ。時々 i-phone。一番レフなら、このように焦点深度の深い写真が撮れるのが嬉しい。
私のブログを読みながら、涙が出そう。とコメントくださったRさん、いつもありがとう。前述の UTAU のアルバムのなかの「鉄道員(POPPOYA)」という曲が、また泣けます。 「逢いたい人には逢いに行け」という歌詞もよくて。ぜひ。Amazon か i-tune で、ちょっと視聴してみて。(視聴できるの知ってた?) UTAU の「鉄道員」ですよ。「悩みがあるなら旅に行け、心を鍛えて〜」この秋一番のおすすめです。好みが違えばいたしかたなしですが、私好みの音楽を教えてくれるSさんにも、聞いて欲しい。共感を伝染させて、分かち合うブログ情報で、さらに話はディープに続けたい。
November 21, 2010
10年くらい前に作った寄せ植えですが、花より光を見ていただきたくて。これは春の夕陽が当たっている状態です。春の光、秋の光、朝の光、夕方の光、これらは、太陽が真上にある状態(純光)ではなく、斜光といって光が斜めにある状態です。これが、目に見えるものを実物以上に素敵に見せてくれる。ただし、斜光でも真夏の太陽は強すぎるし、真冬の光もかなりシャープ。「ワンパラ」は業界用語ですが、私はこのワンパラ、パラフィン紙一枚透かしたような光が好き。だから私は、春か秋がいいと思う。真夏なら夜明けの一瞬がいい。アンドリュー・ローソン、クライブ・ニコルス、イギリスのガーデンフォトグラファーは、庭にテントを張らしてもらって、朝焼けから撮影するそう。そんなこと、ベスチャトーガーデンズやグレートディクスターで、やってみたいですね。そういうツアーを作っちゃおうか!
でも、普通の旅行者は昼しか行けない。夏の鋭い光は厳しい、そういうときは日陰を狙って、明るい反射光だけで撮ると美しい。直射日光は色が飛んでしまうけれど、反射光なら、本来の植物の色がちゃんと再現できる。このダリアは真夏、7月のイギリスにて。今年の夏はどうしようもないギラギラ晴天でこんな写真が多くなった。
昨日は豊田市のシンポジュームで「素敵な花と緑の世界を作ったとしたら、それを美しい写真に残して、ひとりでも多くの方に見せてこそ価値が生まれる」と、お話した。豊田市の方々のガーデニングへの情熱を全国の方々に知っていただけますように。有名になれ!というのと、ちょっと違う。理解者を増やすことがポイントなのだ。
どんなに素敵なガーデニングでも、誰かに見てもらわなかったら存在しなかったも同然、といったら、言い過ぎでしょうか? オープンガーデンをしたり、きれいな写真を残しておくこともポイント。ブログはその早道ですが、それは絶対に光のきれいな時間帯に撮影しよう。(そんなこと言われなくてもわかってますよという方も多いとは思いますが)
斜光の時間。マジカルタイム。
秋は、晴れた日の夕方の一瞬、たとえようもないほど、光の美しい時間がありますよね。皆様もぜひ、写真の腕を磨くチャンス、その瞬間を逃さないで! ちなみに先日の写真は我が家の近所の今はなき公団住宅の共有地。きれいだったけど、消えてしまった。
下の写真がロンドン。歩いているのは、30代の私であります。森には強い湿気があり、素晴らしい匂いがしていた。ワインの樽、茸の香り、とか湿った落ち葉の匂いは最高だ。
今持っている秋の夕日の寄せ植えの写真を掲載したいのだけれど、来年の2月に出版される(主婦の友社刊)写真の数々、現時点で契約の縛りもあり、出せなくてうう〜残念。あ、先週出た本、大勢の方が買ってくださり、ありがとうございます!!!ブログランキングも大協力感謝!「ランキングに参加するな!」とコメントもいただきましたが、ランキング参加は、スポンサー様のおすすめ。そのおすすめの理由が、私のことを知らなかった方が私の考え方に触れるチャンスになれば。ということもあり、順位というより、これは、オポチュニティ。ずっと続けるつもりはありませんから、どうぞご安心を。 競争モトより嫌い。でもポチポチ押すのは大変ですよね。面倒だと思う。だけど、それでも押してくださる善意が嬉しい。私は、私の考え方やセンスは日本ではマイナーだと思うけれど、こうして直接ブログでコメントをいただいたり応援をいただいて、わかってくれてる方の存在を感じられて、ブログは素晴しいって!思っています。嬉しくて、感謝ばかりです。これからもよろしくお願いします。
お知らせ:箱根も冬がやってきました。今年最後の公開ワークは、12月2日(木)です。宿根草の冬支度します。
サンダーソン展ご参加ありがとうございました!展覧会の内容も素敵でした!英国より門外不出のアーカイブスも展示され、ミニミニV&A(ヴィクトリア&アルバートミュージアム)です。来週水曜まで。