August 2013
August 31, 2013
「益子のおいしいもの」に続いて、「イギリスのおいしいもの」をご紹介です。
20数年前のイギリスと明らかに違うこと、それが食べ物です。温暖化とかECとか流通とかコンラン卿の台頭とか、実にいろいろな事情が化学変化して、今やイギリスで美食をしないなんてことはあり得なくなった。第一、屋外で食事なんて!20数年前は、あり得なかったわ!!!
お庭の食事にピタリのお洋服のT様。さすがロンドン在住数十年でいらっしゃいます。
ところで、いいか悪いかなんともいえないけれど、ロンドンで食事をすると、店で働く人々が、イギリス人ではない率90%という気がする。 みなさま、とてもフレンドリーで。この笑顔が素敵な男性は、日本語も上手ですが。
とにかくピーターシャムナーサリー、席の確保がひと苦労です。しかし実においしい。野菜がふんだん。
でも、その上を行くのが、ディナーバイ・ヘストンブルメンタール。 ここの予約の取れなさといったら、チャールズ皇太子の庭見学以上に難しい。と、いう印象です。曜日にもよるでしょうが。
今回も交渉につぐ交渉で、情熱的に予約獲得していただいたおかげで、席にありつく。(Mさま。その節はありがとうございました)
そして、結果は、やっぱり凄い。おもしろいのがメニューで、中世からのメニューを基盤に構成される英国料理の再構築。ちなみに、夫の質問に答えている、このウエイトレスも英国人ではありません。明るいけれども、これで、夜の7時です。
私のメーンディッシュ、ヘレフォードのプライムビーフ。1830年のレシピから。肉の焼き加減最高。私は、霜降り肉が苦手なので、こうした、脂身の全くない Lean meet がBest 。付け合わせはフライドポテトだったのをマッシュドポテトに変えてもらった。
イギリスでモダンブリティッシュ系のレストランに行ったら、絶対に注文するべきなのが、このマッシュドポテトです。とにかく、これも夢に見る美味しさ。フランス料理なら生クリームにするところをオリーブオイルで作る。 家でなんどか挑戦するも、いまひとつ。
鴨肉のコンフィにフェネル焼き。1670年のレシピがベースだそうです。
デザートもそれぞれに素晴しかったです。お気づきと思いますが、このレストランは白いテーブルクロスがありません。と、いうことは、ドレスコードがカジュアル系。なんとなく気楽なムードで最高の料理を楽しむという基盤がある。でも、おしゃれはするに限ります。
次にロンドンにいくと決まったら、まずはレストランの予約が先決。次にホテルの予約です。
(ホテルのアフタヌーンティーも要予約! ミルクファーストの図です)
私は自分でする場合は、 toptable というイギリスのレストランの予約サイトから、レストランの予約をします。新しいレストランの情報もこのサイトから手に入れられるので、イギリスに行くなら、時代の先端を行くようなおいしいレストランにぜひ!
また、次にロンドンに行くなら「The Botanist 」というレストランに行きたいのです。ここでの朝食もいいらしい。もしも、行った事がある方、いらしたら、感想を教えてくださいましね。
August 29, 2013
前の日に掲載したシュロのハエたたき、日本のそれぞれの地方で実際に昔からあったのですね。南の離島や徳島などで...。コメントをいただき、楽しい気持ちになりました。ありがとうございました。知らないのは、東京育ちだけだったかも。素晴しい知恵。自然の豊かな地域の知恵。ほかにもたくさんありそうです。
次は食べ物の話題。これから食欲の秋に突入するので、たくさん食べても太りにくいものを探したいなあ。いちばん上の写真は。益子スターネットのケーキ、白砂糖を使わない、仄かな甘みのケーキの大ファンです。
さて、益子に来ると、朝昼晩と、スターネットの元気のでるごはんを頂くのが本当に楽しみなんです。
野菜が力強い。これ食べると数時間以内に元気がでる。フリーレンジチキンの鶏ガラスープも素晴しくて、味わい深い。身体の調子が良い。という実感がでてくる。
2〜3日の滞在中、ここのごはんを食べさせてもらっていると、本当に体調が改善されるのがわかります。
2日目の昼ご飯は日替わり定食の「豆腐どんぶり」。益子の有機栽培の山崎農園から来た野菜と完全なフリーレンジチキンの卵も入ったどんぶり。ちなみにタマゴアレルギーの友人が食べても、この卵はアレルギー反応がでないのだそう。私にはおいしい!元気がでる感じ!ということしかわからないのですが。
それから、タレがおいしい。
この特別な味のおいしいタレは何でできてるの?と、聞いてみました。
基本的には、スターネットチョイスの醤油に黒糖を入れて煮たもの。このタレは、豆腐や焼き茄子とか 、オクラとか、特に夏の野菜に合う。さっそく、この黒糖醤油はうちでもやってみようと思う。
カリカリに焼いた油揚げに黒糖醤油なんていうのも最高。
夜のプライベイトご飯。あの特別な油揚げを食べたいよう〜と、お願いしておいた。ここでは、ネギをたっぷり挟んで辛み甘味噌で。ベルギービールと一緒に。こんな感じの晩ご飯。東京ではなかなか手に入らない。「おいしかったね」と、翌日になっても、家族とその思い出を語り合う。
ご飯を食べている最中は、生前の馬場浩史さんの思い出話に尽きる。30年も前の思い出、20代の頃の「どんちゃん騒ぎ」でいつも笑い転げていた思い出話で、また笑い転げる。
三日目の昼の定食メニューは、トリつみれスープと野菜ディッシュ。ダシの旨味が凄い。
この日は益子在住のTちゃん家族と賑やかに。夫も私も実家が東京なので、田舎の親戚という存在が希薄だが、益子に来ると、益子の友人たちが田舎の親戚モードに入る。
例の黒糖醤油のタレをかけた野菜。ひとつひとつの野菜がパワフル!
野菜嫌いのティーンエイジャーもこれだけはよく食べる。
デザートは、とうふケーキとミルクコーヒー。大好きなメニューです。
あたりまえだと言われそうですが、空気の良い場所で、寝るときは虫の声しか聞こえない、エアコンも必要ない環境で、元気な野菜や添加物のない食べ物で数日過ごすと、身体がそっちに慣れてしまって、身体が敏感になってきます。身体だけでなく、神経とかセンスとか。
田舎の夏休み。クリエイティブな意味で非常に必要です。そして、暑くてちょっと辛かった夏が、そろそろ、終りに近づいているようですね。
少し涼しくなったら、スターネットの駐車場も空き地に野の花マットを植えに行くことにしました。きっと似合うはず。
August 27, 2013
デザイン施工から1年、まだ植物たちは、植え付けから1年も経っていないので、未成熟。
完成!とはいいきれないのですが、少しづつ形になってきた野の花ガーデン。樹木の支柱がとれるころにまた行きたい。
日本の在来種の植物の良さを少しでも感じていただきたいとの願いから。
そして、これを広めたいという願いから。
そして、福島の豊かな自然を見直して欲しいという想いから。
ここができた。
伊勢神宮の山から採取された品種による「伊勢マット」の株。ここだけ、お伊勢さんだ。
ケロチャンも眺望を楽しむ。
在来種の植物の美しさと強さ。魅力が少しでも伝わると良いのですが。
お客様を迎えるにあたり、前日は準備。
その後、フェアリーの森へ。
今までは2〜3人で森に入っていたので、森の気配は、非常にミステリアスだったけれども、さすがに20数人で訪ねてみるのはどうかと、心配でした。
しかし、みなが植物たちを暖かいまなざして包み込んでいたので、すぐに穏やかな世界が戻って来て、深い呼吸ができた。こういうときのコツは、イングリッシュガーデンもそうですが、一瞬、少し人の集まりから外れると良いのですよね。....そして、ちょっと、ひとりになること。
初めて見たので名前を聞いた。トウキ。あ、あの漢方薬の...。美しい宿根草で、なにかとてつもなく力強いものを感じた。人の病を直す植物はなにかが違う。
オトコエシ。素敵な株。今回一番人気。
オミナエシの伴侶ということになるか。
久しぶりに東京を離れ、やっぱり、自然のなかにいるのはいいなあと。思います。
また、実は一昨日から福島から栃木県の益子へ。スターネットカッコいい。猛然と溜め込んだ仕事を友人宅で終えたかと思うと、益子のヘアーサロンへ。美容院なんて、数年ぶり。今度は友人と話こんでたりして、写真がない。またそれは後日に....。豊かな自然。そして、とても涼しい。夏がこのくらいの気温だったら大好きなのに。
August 20, 2013
イギリスの庭の記憶...。なんだか、日本の夏があまりにも暑いので忘れそう。
いえ、今私はスケジュールを詰め過ぎで、暑いどころではなく仕事のことで頭がいっぱいかも。
でも、それで忘れてしまう前に....。
そして、ジェームス・ダイソン卿とチャールズ皇太子のプライヴェイト・ガーデン。どちらも写真がないので、説得力に欠けますが、本当にみごとな庭でした。
(せめて途中の風景を)
庭は、その姿、花が咲いているかどうかなどの、表面を見るものではなく、そこに暮らすひとの心が求めるものがそのままある。そこをどう見据えるか。
どちらの庭でも、「ひとりの人間が生きている」そのための装置でもあるなあと。そんなことを、まさに強く思いました。
ジェームス・ダイソン卿には、何度かインタビューをしたので、そのほんの一部を抜粋したいと思います。集英社メイプル誌や、文化出版局ミセス誌上から。
ガーデニングの面白さは、
予想外のことが起きること。そして
自分が死んでも、庭は残る。(ジェームス卿)
これまでの常識を覆す、
未来的な庭と、伝統の庭と
吉谷 ダイソンさんが2003年のチェルシーフラワーショーで発表された「The wrong garden」はとても未来的で面白い発想の庭ですね。(この庭によってダイソン氏と庭園デザイナーのジム・ハニー氏はシルバーギルトを受賞、バーミンガムのフラワーショーではゴールデンギルトを受賞)
ダイソン ありがとう。そう、あれは、これまでの庭の常識を覆そうという発想でデザインしました。緑も花もなくて、水は下から上へ流れる……。
吉谷 どうして下から上へ流すことができるんですか?
ダイソン 種明かしをするとね、水はガラスの滑り台を、実際は下に下がっているんだけど、ガラスの下面に通り道を作って、ポンプで泡だけを下から上へ押し出しているから、水が上がっていくように見える仕掛けなんだ(笑)。
吉谷 ダイソンさんも、ガーデニングはお好きですか?
ダイソン 僕も小さいころからガーデニングをしてきました。イギリスの男の子の多くはそうだと思うんだけど。ガーデニングの面白さは、予想外のことが起きることだと思うんです。二百年生きた木が、突然、死んでしまったり、思わぬところに思わぬ花が咲いたり。そして自分が死んでも、庭は残っていく。それはとても楽しい想像なんです。ものを作り出す情熱という点では、掃除機などのメカも、庭ととても似ていると思っています。
吉谷 ほんとうにそうだと思います。
ダイソン 僕はこれからも掃除機に改良を重ねていきたいと思っていますし、まだシークレットでお話できない面白いプロジェクトもいろいろと手がけていく予定です。そして庭に関しても、僕は、毎朝、ガーデナーたちと必ずミーティングをしています。今日の作業はこれとこれ、というように指示するのです。子どもの頃のように、自らが庭に出て土をいじることがなくなってしまったことはとても残念ですが、そうすることで、この庭にも、僕の血液が通っていると実感しています。
吉谷 庭はその人の個性が出る、とてもパーソナルなものなのだと思います。
ダイソン そうですね。先ほど、あなたは、伝統的な庭をどう思うかとおっしゃいましたが、僕の庭は、実は、18世紀の造園家、ケイパビリティ・ブラウンの設計です。荒れ放題だったのを、最初に彼が作ったときのものに近づけようと試みているところ。ただ、一部はあくまで僕らしく。伝統とフューチャーデザインがうまく混ざり合っているのが理想です。
吉谷 それは素晴らしい! 私の想像をはるかに超える庭ですね!ぜひ、お庭をみせてください。
(と、インタビューの後、実は、インタビューをしたダイソン社本社から車で30分ほど離れた御自宅の庭の見学に。ここでも写真はなしで、とても残念です)
対談を終えて
あの掃除機は、少年の純粋なココロザシが形になったものだったと合点がいきました。今まで以上に掃除が楽しくなりそうです。さて対談後、ダイソンさんは、約束通り庭に連れて行ってくださいました。設計したランスロット・ケーパビリティ・ブラウンといえば、英国の国宝級の庭で有名な造園家です。ダイソンさんは、失われかけていた風景式庭園を屋敷ごと修復している最終段階だったのです。庭を眺めていて胸がいっぱいになりました。それはいつか見た18世紀の銅版画に描かれていた庭と同じだったから。「あの絵と同じ!」と叫ばずにはおれませんでした。18世紀の景色を21世紀の未来的デザイナーが復元している現場だったとは! モダンか、クラシックかなどと次元の低い質問をした私が恥ずかしかった。これぞ、伝統を重んじる英国人の姿。本質を追究する正真正銘のクリエイターと出会えた思いでした。ダイソンさんが心を開いてくれて、心から感謝です!
ちなみに、お好きな食べ物を伺うと....。
・南仏産のピショリーヌ種のオリーブは、小さくて香りもよく大好きだ。プロバンスのオリーブはかなり硬めで、味も濃く、ニース風サラダには欠かせない。面白いことに、オリーブの木も水をやってはいけない。
・Duchyオリジナルのジンジャービスケット。とても軽く、さわやかなシトラスの味がして、いくらでも食べられる。
・ジャスミン茶。抗酸化作用が高く、とても心が落ち着くので、寝る前に1杯飲んでいる。
・新鮮なフルーツ。だいたい1日5個以上は食べている。そのおかげで忙しい毎日を乗り切れる。
・ゆで卵。放し飼いでニワトリを飼っているので、朝、取ってきた産みたての卵を朝食で食べるのは最高だ。
・そして朝食の仕上げは、しぼりたてのグレープフルーツのジュース。
・デーニッシュペーストリー。まさに堕落。アーモンドが大好きなので、アーモンドクロワッサンが大好物。
・しょうが。英国ではジンジャーはビスケットやケーキなど甘い物に昔から使われていて大好きだ。でもお寿司屋で食べる酢漬けのガリも好きだ。
・トリュフ。キャビアと並ぶ珍味。ふわふわのオムレツに入っているとおいしい。でもめったに食べられないごちそう。
お好きな食べ物を伺うだけでも、その方の趣味の良さやライフスタイルが忍ばれて興味深いことです。私もピショリーヌのオリーブやハイグローブのジンジャービスケットが好きだなあ。
ケーパビリティ・ブラウンの風景式庭園を再現しつつ、随所にモダンなテイストの感じられるお庭でした。
そして、今回の旅のハイライト。
HIGH GROVE。素晴しかった、あの庭を流れる独特の空気。何人かのデザイナーが入っているので、その個性もおもしろい。前日に見学をしたバナーマン・デザインのほかに、ウォールドガーデンは、ハットフィ−ルドハウスのレディ・ソールズベリー。ローズマリー・ヴェレィ女史も関わり、ほかにクリフトンナーサリーのマイク・ミラーなど、かなりの人々との共同作業であることも、庭にバラエティ感がある理由。
この庭は、1980年から、皇太子自ら、作り始められたとのこと。オーガニックな方法ですべてが管理されていることも有名です。
これは今回、実に、旅行社のセブンカルチャーさんが頑張ってくれた。その旅の組み立ての一番の頑張りどころが、この企画の実現だったかなあと思います。
それは、普段、団体旅行とか絶対にしないと言う方にも、結局、グループ旅行の16名以上じゃないと予約のパーミションがでない 庭とか、見学の方法があるので、そこを旅のツボとしている。
アフタヌーンティー&シャンパン 付きのHIGH GROVE見学は、個人では受け付けていないので、これも実に贅沢な体験でした。
気になるアフタヌーンティー&シャンパン 付きのHIGH GROVE見学のお値段ですが、ひとり、75ポンド(日本円で 11.500円 くらい-)と、安くはありません。なので、ほかのグループ(英国人のグループ?)も、大変お上品なアウトフィットでいらっしゃった。
こういう場所は、絶対と行って良いほど、白っぽい恰好で行くべきものだと改めて感じました。
同じシャンパンを頂く空間におられた、英国の紳士の方々は、暑い日だったけれど、白い背広をしっかりと着込んでパナマ帽でおしゃれでしたし、女性はだいたい明るいパステル色のワンピースでふわりと。
私が忘れられないのは、皇太子がこのサンクチャリーと呼ばれるコテージで、たったひとりの冥想の時間をすごされるとのこと。その空間をじっと、この目で見てひどく強く感じるところがありました。この家の造形も本当に特徴的。猛烈に惹かれるものがあるのでした。
ちなみに、予約制とはいえ、こうした一般公開見学は、皇太子が留守の日を選んで計画されるそうです。普段は完璧なトランキュリティ、静寂のときをすごすこの庭自体の本当の見え方をじっくりと想像するのもひとつの楽しみ方という気がします。
それには、英国で印刷、デザイン、編集された「ENGLISH GARDEN 」の本を開くのが一番の近道かもしれません