November 2013
November 15, 2013
DYING GRACEFULLY
優美な末期 (と、題された、クリストファー・ロイド氏の著書のなかの1ページ。17年ほど前に、夫、吉谷博光が翻訳した一部がでてきたので、この機会にちょっとご紹介を...)
それまでの話の経緯がどうであれ、オペラの主役は最終場面でかならず甘美にそして優雅に死んでゆくことを保証されている。巧みに創作された理想像だと重々知りながらも、我々はむしろこちらが真実であると信じたいものなのだ。
ロイド氏が、特に枯れ方の醜い花の代表に上げていたのが、ブドレアだった。夏の間ずっとシュートがあっちやこっちへ向いて伸び、花後はそれが茶色く枯れる。その点、ノリウツギ’水無月’(写真上)は、開花のあと徐々に秋色になるのが美しく、これぞ、Dying gracefully だと思われた。開花時は真っ白で、これも同時に、Living gracefully でもある。
先日、ピエト・アウドルフ氏に関する文献を調べていたら、面白い記事を発見した。ダン・ピアソン氏のディリーテレグラフの園芸欄、新聞への投稿である。この記事、毎度面白いので、オススメ。
I remember Oudolf saying: "Dying in an interesting way is just as important as living,"
こういう英語、翻訳は難しい。私流の怪しいアレンジですが
「味わいある形で枯れて行くことは、これから成長していくことと同じくらい重要なことだ」
これ、しかし、もっと直訳すれば私たちの人生にもあてはまるのじゃないか?50歳半ばをすぎて、意識し始めたことでもある。
さて、ピエトさんの私庭は、ベストの公開ガーデンの時期を9月にしていて、そのころが一番美しいのだそうだ。いってみたい。私たちがツアーで訪ねた6月は、まだ、植物が若々しすぎて、なんていうのかしら、庭の「熟年の美」が見たいと、やはりその時思ったものです。
今、日本の秋が足早に終わろうとしていますが、この機会に庭のグレースさんを見つけておきたいものですね。
もっとも、日本の秋は台風や大雨などで、汚らしく黒ずんでしまう植物も多く、こうしたDying gracefully は、ヨーロッパやアメリカだけの気候帯で可能な現象なのかもしれません。
(写真は、比較的きれいに枯れてくれた年のアナベル。適度な乾燥が条件です)
今年は、長雨も多く、箱根のアジサイが綺麗な秋色になってくれませんでした。
庭、なかなか思い通りにいきません。ふぅ〜。
November 11, 2013
何年か前にベランダに植えた菊。今年も咲いてくれました。この写真、実は2年前の11月7日に撮ったもの。昨日、ベランダで同じように咲いていたので、ああそうか。この菊は、毎年今頃に咲くのだったかと。
花。こうして、写真を撮っておくといいですね。いつ頃咲くのかわかるとそれで季節を感じる。でも、忙しいと忘れてしまう。ところで、最近、リマインドしてもらわないと様々な原稿の締め切りを忘れがち。関係各位すみません。それで、その宿根草が10月に咲くのか11月だったかも、忘れたら寂しい。
でも、今年は、長引く暑さのせいで、菊の開花が遅いことが話題になっていたので、てっきり、うちの菊もそうかなと思ったのですが、いつもの時期に咲いたとわかると、ちょっとホッとしたりして。
(ストレプトカーパスも、気づくと、自然に咲いている花です)
ここ数年、異常気象のことが気にかかります。庭のあり方は、ますますサステナビリティ。無理のない存続性について、真剣に考えるときがきています。それに伴い、英国のイングリッシュガーデンも、花でいっぱいの庭という方向から、少しづつ違うところに行こうとしている。厳しい表情を突きつけてくる自然界から、目を背けないで正面から向き合うことで、私たちが行くべき方向性は、自ずと決まってくる。
しかし、夢も欲しいです...。 あらゆるクリエイティブな方法を見つけよう。
November 10, 2013
秋の庭仕事といって真っ先に思い浮かぶのは...? 球根を植えるのは
今!というか、もっと前から植えてる方もいらっしゃるでしょうが、パンジーなど、良い感じの種類が出ていますね。
7月からずっと咲いていたガイラルディア。まだ綺麗で、これからいくらでも咲きそうな気配。寒くなればパタッと終わりそうですが、いい花です。こんなにいい花なのに、あまりどこにでも売っているというわけではなくて、残念です。東京では、11月の末でも、ベゴニアがきれいに咲いてたりします。
9月のテレビ放送の寄せ植えに、青系〜紫系の花が必要だったので、買っておいたペチュニア。1ポットだけ、あぶれていたので、放送後、自宅で植えてみた。まだまだ9月でも、なぜか、出荷されるペチュニア。でも、これってどうなのか。仕事上、必要だから買うのですが。何度か、9月出荷のペチュニア植えてみたことがある。やっぱり、気温が下がる方向だと、あまり咲かない。気温がまだまだ高かった9月、最高に日当たりの良い場所で、最高の土と肥料で植えても、やはり気温は下がる方向。ツボミはあるのに、花はいまひとつの咲き方。下の写真は、春植えの梅雨前のひと株。気温が上がって行くときに植えた方が、やはり....。
たったひと株が、立派に大きく咲くのは、やはり、GWの頃に植えて初夏を迎えた株ですね。
今、ピエト・アウドルフさんのことを書くのに、4冊の本を読み耽っています。非常に影響されます。
庭のサステナビリティ。特に秋になってもまだ見所のある植物というのが、魅力的。上はセダムの初夏。下は同じ植物の秋。もちろん、春最初の、芽出しのときも素敵ですが。
先日もご紹介しましたが、春〜秋まで、季節の変わる様子と一緒に変わっていく植物の姿。こういうのがもっとも好きな庭にありたい植物。
ピエトさんもいってますが、ここに美を見つけるかどうか、それは、それぞれの人の好みや発見力による。
番組のインタビュー。このピエトさんのアトリエ、素敵です。ツアーで行った際、なかを自由に見せていただき、感激でした。素晴しくミニマル・モダンでした。
たしかに、ニューヨークのハイラインには自然な雰囲気があった。たしかに。でもこんどは、エキナセアの咲く夏に行ってみたいです。私がこの間行ったのは、真冬でした。それでも、アートフォームを感じましたが。いずれにしても、このひとに仕事を頼むNY市も、いい線いってると言う事ですね。
今、来年の「国際バラ」と「はままつフラワーパーク」の基本デザインをしています。アプローチの全く違う2つの庭。海外の事情やニーズとは、これまた違う仕事をしている自分でもあり。しかし、取り入れられるところは吸収して、あとは、さまざまな経験や、時代の空気や、自分の感性がぎっしりと混ざったときに出来上がるものは、その時に手に入る植物やスタッフや、本当に複雑な条件が混ざり合って、うまくいったとすれば奇跡のようだと、いつも思います。うまくいかないことも多かったわけですが。(笑)
November 05, 2013
雲ひとつない快晴! 11月の箱根は、紅葉と、白い穂に秋の透明な光を含んで風に揺れるススキの群生が見事です。同時にバラもまだまだ美しく開花中です。
星の王子さまミュージアムでは、すでにクリスマスの飾りも完了。
素敵なパンジーもいろいろ入荷。
セダム、季節最後のスケルトン姿に秋の陽が当たります。なかなかいいなあって、見とれる瞬間数秒。
夕方からは3Dプロジェクションマッピングも開催中。
日暮れが早い分、ライトアップでロマンチックな雰囲気があって、なかなかのものです。
さて、お知らせで〜す。
明日、6日も、公開 ガーデニング・ワークがありますが、ご参加頂いた方に、M&Bフローラさんの9cm ポット入りクリスマスローズのプレゼントもあります。詳細は、スタッフブログまで!
November 04, 2013
読書の秋ですね。なにかおもしろい本、読んでますか?読書って、素晴しいリラックス効果があるんですってね。私は寝る前には、このところずっと、古くから持っていた岡本太郎さんの書かれたすべてを単行本で読むのが自分のなかのブームです。読み直してみて心にぐっと来る部分が新たに見つかるのでワクワクします。
ネット上の読書はよくわからないけれども、でも、手軽さが魅力です。ブログというのも、特殊でおもしろい。時々英語で書かれた海外のブログを見ます。私の書くブログは、いくつかあって、メインとなるこちらのガーデニングブログと、自分のブランドのファッションブログのほかに、星の王子さまミュージアム「ボンジュール!」と、航空会社ヴァージンエアの「イギリスに行こう!」、そして、自分の会社のブログ。(これは、もう、長いこと書いてないけれども)それで思うのです。デザイナーが本職ですが、案外、文章を書いている時間が人生のなかで、かなり長〜いような。人間は言葉で成り立っている。デザインするときも、言葉が最初にあったほうが、確実に内容のしっかりしたデザインができます。なんとなくきれい。では、寄せ植えにしても、何かを感じさせる力に欠けるような。センスも大切ですが。
いろんな企業誌の記事を書いています。連載、不定期、いろいろ。 時々、結構いいこと書いたので、こちらのブログに添付してそのまま掲載したいと思うことがあります。でも、そのまま掲載って、許されてないもので、自分が成し遂げた仕事。少しでも多くの方がたに読んで欲しいのに、あまりひとに知られないのって、ちょっと寂しいような。それでいいのかと思う気持ちと...。複雑です。
先日、来年に丸善出版から刊行される「イギリス文化事典」のために、英国庭園の歴史(中世から現代まで)を書きました。少ない文字数で書ききれないことばかりで、とてももどかしかったけれども、歴史は調べてみると本当に面白いですね。私がイギリスに住んでいた1990年代のことはもう、過去になっているのですから、時代の変遷って、ダイナミックなものだとつくづく思います。
住友信用金庫の会報誌を、長いこと書いていますが、今月は、球根を植える時期なので、オランダのチューリップバブルのことを書きました。これも調べてみるととても面白くて、文献もたっくさんあります。
こんど、エクスナリッジ社から刊行されるのは、50代からの女性の生き方や暮らし方の指針を
読みやすいエッセイ仕立てで紹介するライフスタイル実用書で、それも撮影や校正が終わっていよいよ出版の運び、私だけでなくて、いろいろな各界の方々の登場本ですが。それぞれの方々の考えがわかっておもしろそうです!
お洒落な本屋さんが東京に増えています。そこに行くと、本の面白さに熱中します。インターネットよりももっと深い何かを手にできる実感があって。私の住んでいるエリアにもっとも近いのは、オリオンパピルス。ファイドン社のGARDEN の日本語版がでていてびっくり、文献のしっかりしたとても良い本です。こんど、タキイ種苗さんの会報誌にPiet Oudolf さんのことを書くので、持っていなかった本を補充するべくAmazonで検索したら凄い世の中ですよね。たちどころにすべて揃いました。びっくりです。ちなみに、イギリスとアメリカのAmazonの価格比較をしてみましたら、日本の表示が一番安かったです。出品者は同じなのですが。税金の関係でしょうか。
同じくタキイ種苗さんの月刊誌11月号では、モティスフォントアビィのことを書きました。わかりやすいバラの栽培アイデア付きです。
でも、ネット上のリンクは本当に便利!このままクリックしていただけたら、別の記事を読んでもいただける。
今月は、イギリスの航空会社、ヴァージンエアの「イギリスに行こう!」には、ウィズレーガーデンのことを書きました。ミテネ!さあて、明日からは星の王子さまミュージアムの斑冬の庭支度です。もう台風はこないで欲しいのですが。