August 2016
August 17, 2016
色彩の効果は大きいし、大切だ。
って、ずっと言ってきましたが、日本でちょっと問題だと思ってきたことに、プロダクトデザインの色があります。
(写真は、パリ郊外、バラの村の民家の壁、レンガも素晴らしいですが、この!塗装色、バラを美しく魅せる最高の引き立て役ですね。レンガは土を焼いたもの。ヨーロッパのペイントは、多くの場合、土にエマルジョンを混ぜたものが多いです。)
1980年代の初頭の3年間、これからイケイケのムードの日本の工業デザインの世界で、プロダクトデザインの仕事をしていたなか、「そもそも!工業用塗料の色が、よくない!なぜだWHY !」、愕然とした覚えがあります。缶を開けたままの色には「いい色の絵の具がない」ので、調色でいかによい色を作るかの苦心にあけくれた日々があるのです。あの経験は私にとって、トラウマみたいにしてあって、そもそも絵の具の色がよくなかったら、よい絵も描けないではないかと。
日本の伝統色には、いい色、たっくさんありますが、それは、やはり、草木染めの伝統から始まって自然の色からくる美しさ。だから、自然素材を原料にした絵の具は美しい。でも、時に大変に高価。
それによって、イギリスでは、当初、自然素材からすべて自分で作る古典技法の勉強を始めました。
3年ほどスタジオに通っていましたが、だんだん庭のことが忙しくなり遠のいてしまいましたが。一応の技術は習得。このさくらんぼの赤が、コチニールというてんとう虫の仲間を乾燥させたものを煮出して作った色です。ロンドンの我が家のキッチンは時折小さな絵の具工場でした。
工業用塗料は、効率からいっても、すべて合成塗料ですので、素人目にはわかりにくかもしれませんが、「ホワイト」さえ、いやな白だ。と、私は思っていました。
だから、イギリスで出会った塗料の美しさに納得。白がまあ、なんて美しいのでしょうか 。壁の白のニュアンス。
こうでなければ!と、思った次第。要するに原料が、イギリスの場合でいうと、ドーバー海峡の壁の土。あの白が基準になっていたりする。80年代のころでしたが、最初はイタリアの工業製品の発色が素晴らしいと思って、イタリアに移住する計画もあったほどです。でも、最初に立ち寄ったイギリスで居心地がよくなってしまって。
だって、イギリスのペイント顔料に 素晴らしいものがたくさんあったので!
FARROW&BALL は、イギリスじゅうのマナーハウスの壁の色を美しく彩って。
「これだ!」と、思いました。その後、ヨーロッパにはいくつもの素晴らしいペイント会社があることを知りましたがあとは、好みの問題だと。
この写真は、フランスのノルマンディ地方ですが、地面の色が、そもそも白いです。土が白く壁も白っぽいものが多い。だから、紫色系のペチュニアが美しく映えて。
色の効果。色の美しさ。明るい色にも、暗い色にも、美しさはあるのに、明るい色の効果はなぜこんなにも、ポジティブなことが多いのでしょうか。
嬉しいコメントをいただきました。ありがとうございます。
- 吉谷さんの考えに共感してからは、旅行(こと海外)では服の色に気を配るようになりました。おかげさまで、朝食やレストランで隅の席に追いやられることもなくいつもいい席に案内してもらえます。色って大事ですね
本当に色って、大事ですね。
度々ヨーロッパに出かけるうち、私が東洋人であるという理由以外に、何かコツがあるようだ。ホテルやレストランでの扱われ方の違い。るうち。そのことに気づいて服の色や「ハイヒールの掟」に気づいてからは、それで通される席の違いにはっきり気づいたんです。あまり、日本では、そういうことあるのかないのか、よくわかりませんが、「肌の色」でなんとなく「白っぽい。明るい色」のほうが優遇されるので、服の色も十分に関係すると感じました。それと、年齢も少なからず関係している気もしますが。
「美」の基準でいえば、30代のころより、劣りだしているであろう、50代になってからのほうが断然。貫禄などもつくらしいし。
それから、花の色も。いつもガーデンショウなどでも、話題にしていますが、発光色と吸収色(暗く沈む色)の割合で発光色が少ない植物の庭は、お客さんの滞留率が下がる。珍しい暗い色の花も、ただくらいだけだと、interest が...。
でも、必ず、背景を明るくするなど、工夫があれが、見栄えがぐんと上がります。
そういう、色彩も、レイアードの感覚で見ていくと、深みが増し、面白いですね。
自分が着る服の色も、景色というレイアーのなかで映えたり、沈んだりする。自分の顔という肌色にも一種のレイアーがあるので、肌色に合うことも大事ですが。
August 14, 2016
このことは、あえて、ファッションブログに書かず、ガーデニングブログに書きますが、数年前から、ずっといっていることと同じなのですが、庭で、自然のなかで、黒はない。という話。
1991年7月にイギリス湖水地方のヒルトップを訪ねていますが、まあ、夏なのに、黒い服を着た私。左は私の母。この時は、夫と3人で湖水地方へ。
ほかにましな格好の写真はないのかと探しましても。
あちゃあー。
その翌日、実はこの時、フェルウォーク(湖水地方の山歩き)に凝って、湖水地方のウインダメアの街の山歩きのためのアウトドア屋で、ハイキング用のパンツとウォーキングシューズを買った。これで、少し、こういう地域を歩くのに、それらしいスタイルになったんですが...。
でも、もともと、東京を出発するときに、山を歩くつもりがあったので、スニーカーを履いていった。それで、良いと思っていたし(それまでも、尾瀬や日光をこのスニーカーで行っていたので)自然の中を行くためのTPOが、まるで、できてなかった。
これ、スイスアルプスを踏破したときの写真。アディダスのスニーカー、スタンスミスで。先日、息子がまったく同じスタンスミスを買ってきたので、びっくり。四半世紀後に、自分の子供が同じ色とデザインのスニーカーを履くなんて。
このとき、すれ違った知らないおじさん(ヨーロッパ人)にそのカッコじゃだめだよと。言われたので、やはり、このあと、グリンデルワルドのアウトドア屋で、笑うほどスイスっぽい、アルプスの山向けの姿を揃えたのですが、その写真が見つかっていなくて。
帽子もかぶらないで晴天のアルプスを行く。というのも若さゆえか。この時、30代前半。10日間ほど、スイスアルプスの山々を母とふたりで山歩き。あまり写真がないのは、この時代ゆえに。フィルム写真とカメラ(私の一眼レフを母が使えなかった)のせいであまり写真がない。
とにかく、どこに行くのも、真っ黒な格好の時代でした。
花や緑の世界に行くのに、それはない。
とは、今でこそ、確信していますが。
あの当時は、東京での生活と同じ旅服。さらには、汚れの目立たない色で旅をする。という程度のことだろうか。
去年の夏。
モネの庭で。その後、どこへ行くにも、ホワイト基準のアウトフィットになったものですが。
太めなのに、さらに太って見える白。
白は太ってみえて危ない色ではありますが、ひとつ、良いこととしては、
蜂に狙われる心配が少ないこと。
どうしても黒っぽいと追われる傾向がありますね。
できれば、黒い髪なら、帽子で隠すのも。
さて、9月のイングリッシュガーデンツアー。若干悩ましいことがあります。
庭の花の植栽をする際も、自分がその庭を尋ねる際も、リレーティブカラーを良しとするのですが、9月の庭。どうも、あんまり真っ白じゃない。ように思います。なので、なんとなく、服色選びに悩みます。
真っ白じゃなくて、クリーム色や生成りならいいか。ベイジュやそのほかのパステルカラーでも良いのかもしれませんが。
庭における自分が着る服の色。
景色のなかにいる自分のことは、その場では、自分ではみることはできない。
あとから、たまたま、写真で撮られたときにしか、認識不能。
でも他人は、自分が庭にいる姿を、確実に視界に入れている。見ているわけですので、そこは工夫のしがいあり。
やっぱり、庭におけるバストマッチの色って、あるように思います。
何色がいいかなあ。オレンジとか、それにリレーティブな黄色もよいのかもしれない。そういうことを考えるのが文化だとも思います。そうやって、イギリスのひとたち。やっぱり、庭に出かけてきているように思えてならないですね。
庭をたずねるときは、もう、全然街に出かける時とは違うドレスコードって、あると思います。
これから、自然界には、秋が近づいてきますが、なんとなく、日々の服装に秋の色を取り入れていくのは気持ちがフィットしていいものだな。と、思います。
今日、関東地方は少ししのぎやすい感じでしたが、関西〜九州は暑かったようです。
イギリスの気温は20度前後(昼)でした。札幌は18度(夜)。気温にも大きく左右されますが、やっぱり季節に似合う色はあり、それでも、あまり、くすんだ色の服を着るのは、若い人は良いけれども、アラ還の私世代は、微妙なトーンの明るい色を選んで着ると良いと思っています。
August 11, 2016
9月のイングリッシュガーデンツアー。その後も、まだまだ、どんどん、調べ詰めています。
リクエストをいただいたので、デレクジャーマンの庭にも寄る工程を組みました。グレートディクスターを尋ねる前後にです。この庭のあるダンジョネス。なかなかのアーティスティックな雰囲気のある場所。
本当はじっくり歩いて(1日がかりで)その風情の写真を撮ってあるくといいんですが、取りあえずバスが近くまでいくので、その周辺を歩きます。
皇太子の庭のアポイントに、厳密に(時間厳守!)縛られるので、残念ながら、ブロートングランジの庭の目の前を通るのに尋ねる時間が取れませんが、この日、最後に英国ハーブ協会総裁のジェッカ・マクビガーさんを訪ねます。ハーブに関する質問があれば、用意しておくとよいかもしれませんね。私が最後にジェッカさんに会ったのは、1998年。帰国の直前でした。あれから18年。お互い歳をとっちゃいましたので、どんな感じか。
春や初夏と違って、9月の庭。見所がまた違うのでたとえば、バラで有名な庭に行っても意味がなくて。
ドライガーデンはそのサバイバルぶりが見所になりますね。
過去のガーデンズイラストレイテッドを散々見直したり。
グラスの美しいプレイリーガーデンを探すと出て来るでてくる。あそこもここも見たい庭!
実は、あの手この手で サマセットの訪問庭のことでは、いろいろ、右往左往。現地の代理店さんで直接交渉をお願いしていますが、訪問先、すぐに良いお返事が得られる場合と、相手の都合でどうにもならない時と。そう、簡単ではありません。
でも、私たちは、バスに乗ればホテルから、無駄なくわがままオートクチュールガーデンツアーの旅、お願いできることは、いくらでもリクエストをだしてみて。断られたら諦めるか。食いさがるか。10箇所以上の庭をめぐるので、本当に、いろいろあります。
ラッキーだったり、そうでもなかったりと。で、もうちょっと頑張ってみます。
(リージェンツパークにて)
最後の夜は、リージェンツパークの脇にあるダヌビウス・リージェントパーク。
あれ?昔ここ、ヒルトンホテルだった?朝夕の散歩おすすめです。
ロンドンでの自由時間。何をするか、迷いますね。今後、いろいろオススメを書いて行きたいと思います。
とにかく、どれだけ調べても調べ足りないと感じる、イギリスの庭のこと。状況は毎年変わり、同じということがないのが、庭という芸術。
(リージェンツパークにて)
私がイギリスに住んで毎週のようにイギリスの庭を巡りをしていたのは、もう、20年以上も前のことなので、事情も一変。
あの時にあった「名園」今はもう、面影さえない。のもたくさんあります。変わらない庭もありますが。
特に、永久にその「地面さえも」見ることができない庭がある。
特にハドスペンは。あの時の庭を作っていたノリとサンドラは、イギリスで、隣人夫婦に次いで、もっとも親しかった二人でした。友人の庭と思うほどの親密さで、そこにいたので、もう2度と見ることができないと思うと、胸に迫るものがあります。夕方、庭を閉園してから陽が暮れる夜の9時すぎまでの時間を過ごしたあの景色。
1700年代から続いてきたあの地。ハドスペンは、ついに、2013年にP・ホブハウス女史の息子ヘンリーによって売りに出された。新しいオーナーは、ジョニー・デップ。との噂もあったが、どうなったかしら?もう、あの庭が公開される可能性も消えたということ。いっときね。2007年に庭のデザイナーを公募(an open design competition)してましたが、デザイン不足。だったようです。
ノリさんたちみたいな才能がその辺にいるわけないし。
また胸がいっぱいになる。
ハドスペンガーデン、私にとって、ハドスペンの庭を見るのも、ノリ、サンドラに会うのも、最後の最後となった日の瞬間は今もはっきり覚えています。それは、日本に帰国した後の訪問で、イングリッシュ・ガーデンのツアーだったと思う。ツアーメンバーと一緒に訪問したあの日。私は、これでこの庭を見るのも、ノリさんたちに会うのも、最後になる。予感が襲ってきて、瞬間、誰にもバレてしまうほどに泣きはらしてしまった。みっともないとわかっていましたが、最後と感じた、あの時。辛かった。今回もそんな一期一会の庭があるかもしれないですね。
ずっと思い出の中に生きる庭が。
後日談ですが、あのとき、サンドラに、「これで私にとって最後の訪問になるような気がする」といいました。「OH~そんなことないわよ。また来て」その後、クリスマスにはカードのやりとり。息子にもプレゼントが何度か届き。ある時、ハドスペンを閉めて、カナダに帰るとの連絡。今度は、カナダに遊びに来て。と住所をもらう。それをなくす。でもメールアドレスがつながる。メールでなんどか、連絡しあう。私のメールアドレスが変わる。それをサンドラに知らせそびれて数年が経ってしまった。
Keep in touch っていうけれども、お付き合いを Keep していくセンスに欠ける。人として、最上級に残念な欠点だと気づいてはいるけれども....。
August 10, 2016
昨日の朝の写真です。こんなに暑いのに元気なゼラニウム・アメリカーナ!一緒に植えたユーフォルビア・ダイアモンドフロストもすごい元気です!そしてコリウスも入った夏のトリオ。
このベランダ、この日向に温度計があり、その温度計のメモリが40を越す毎日です。
それでも、この元気!やはり、植え付け時期も良かったんだと思います。この子たちは5月下旬の植え付けで。十分に助走して。
でも、実はこの子は、国バラのジョセフィーヌの庭で使ったゼラニウム。ショウが終わったあとは、弱っていましたが、今は元気を取り戻して連続開花中。
ジョセフィーヌの庭。⇧赤いモールディングの上に咲く濃いピンクのゼラニウムです。
この花が今もずっと咲いて、とっても偉いんです。この仲間たちは、グリーンギャラリーさんの販売会で買われた方もあったでしょうか。ショウの後からリカバーするのに、一ヶ月はかかりましたが、今は素晴らしいです。
やっぱり、夏は、丈夫でよく咲く花から元気をもらいます。
August 07, 2016
ここ数日、ずっと高温注意報がでています。1日のうちで「暑い」と思う気持ちから解放される瞬間の、実に少ないこと!
なのに、植物たちは、本当に健気です。夏の屋上庭、野生のように生きるのは、オミナエシ、ガウラ、バーベナボナリエンシス。の三本立て。ほとんど自然冠水。手入れはほぼゼロの野生状態のなかで元気に花を咲かせています。特にガウラとバーベナは、こぼれ種の子。「水なんか要らない」という風情ですが、コンクリートの隙間にごっつい根を生やしてしまうことがあるので、発見するとすぐに抜くようにしています。
ここ2〜3年、以前より増して忙しく、自分の庭を楽しむ余裕が皆無。たまの息抜きにルーフガーデンに出るときは、植物をただ見るだけ。ケアのようなことはほとんどできません。ちょっと雑草は抜きますが。
なのに、「8月には、屋上でビアーガーデンをしたい!」と、友人たちからリクエスト。 11年前から毎年やってきたのに、去年は、お休みでした。だって結構大変なのです。10人前後のホームパーティ。でも、人を家に招くのは、家を掃除する大チャンス。覚悟を決めて準備開始。食器棚から普段使わない食器をだして。
2週間ほど前から、隙間の時間を見つけては、掃除、掃除、掃除、整理整頓。庭も。伸びすぎた枝葉の剪定、不要な植木鉢の処理。これが結構多し。
それでこの暑さ。やはり、熱中症ぎみになりますね。
家の中も、整理整頓家具の配置も少し変えて。と、チェックしてましたら、エドワード朝の手芸箱の足が折れていました。
細い木枠が折れて、完全崩壊寸前。ありがたいことに、この定例だった吉谷家ビアガーデンの仲間に、編集者、カメラマン、カメラマン助手、料理研究家、パティシエに加えて、プロの大工さんが1名!この日を待っていたように、家じゅうの壊れた木工ものの修繕要請を。
木工屋内なら、Titebond タイトボンド(大型ホームセンターやハンズなどで売ってる)を塗布してから、クランプを24時間固定。そうなんですね。このクランプのいいのを持ってないと、固定接着が難しい。例えば割れてしまった植木鉢なども、そのサイズにあったクランプを持っていると、うまく治せます。
みんなが集まるのは、4時すぎなんですが、2時半ころには、助っ人も兼ねてパティシエ登場。彼女に見せたくて、Cafe OHZAN のラスクを。週末の午後によく冷えたしゃんぱんにきれいなラスク。ぴったりです。
軽やかだったり、華やかだったりする食べ物の色彩って、大切。
こちらは、さすが、お料理プロの腕前。ほぼ実物大でしょうか。ピーマン、赤ピーマンはワタを削って薄く細く刻むのだそうです。シャキシャキとした食感が実はキノコのマリネの上に乗って。塩加減といい旨味といい。最高のコンビネーションです。
庭のゲッケイジュとローズマリー。これはいつでも、家にあるのですが、エシャロットを探して近所のスーパーを周りました。フランスで修行をしていたパティシェの作。ベルギービールにぴったりの最高の夏の味。
12年前に買ったクーラーボックスが活躍するのも今の時期。ここに氷をどさどさと入れて(ペットボトルで凍らせておいた水なども役立つ)