January 2017
January 28, 2017
去年の暮れ、「初夏に、多肉植物の特集を組むので、多肉植物の寄せ植えを作りませんか?」と、園芸ガイドの編集長から、ご相談を受けました。(写真は、2000年に撮影)
(2001年にはこんなイベントもありました)
多肉植物、って、雑誌などで、寄せ植えを作り初めてた20年くらい前と比べると、世の中全体に、巧みな寄せ植えが増えたし、みなさま、それなりの完成度があり、なにか、今更どうかな。と思うフシもあったのですが、私自身が多肉植物が好きだと思う気持ちに変わりはないし。むしろ、多肉植物を育て始めて、早四半世紀。それなりの経験の上での多肉植物の愛し方を、私なりにご紹介できるかなと、思ったので、お受けしました。
実は、そのせいで、年末からこれまで、多肉植物のことで頭がいっぱい!で、でも、ブログの記事に書くには、まだ、その園芸ガイドの特集も記事になっていないので、どうかなと思っていたのでした。
でも、この愛が抑えられないというか。情熱が日々、多肉植物に帰ってきてしまうので、大雑把に二つの 多肉植物について、この愛おしさをお伝えしたいと思う次第です。
ひとつは、センペルヴィヴムです。氷点下になるすごく寒い時期にも、霜を被りながら、愛らしいロゼットが寒さにあたると、ローズ色に変化して愛らしく、メンテナンスもほぼフリー。(夏は雨にあたらなければ)寒さに強いのが魅力で、イギリスでは北イングランドでも、屋外の環境で素敵な寄せ植えになって庭先などに、飾られています。トピアリーにするにも、一番向いています。
もうひとつは、セダム。セダムと一言にいっても何百種類もあり、あまりにも種類があるので、「どのセダム?」と、ピンとこないかもしれませんが、 マンネングサなどと呼ばれたぐいの、365日、いつみても機嫌がよさそうな、グラウンドカバーになるセダムたち。
この挿し芽が本当に楽しいですよね。
今では作らなくなったクッキー型やお菓子の型を使って、そこに挿し芽をすることを思いついてからは、もう、これが楽しくて、楽しくて。
マンネングサは、私の家の屋上とか、コンクリートの隙間とかに、いっつもいます。 雨の多い時期よりは、ずっと雨の降らない今の時期のほうが元気なくらいで。これをカットしてきて挿し芽で入れる。
この型で、3週間が経過。寒いので念のため夜は家の中、朝から日暮れまでは日向ぼっこ。
その作り方やメンテナンス方法など、詳しいことは、園芸ガイド誌上でご紹介したいと思いますが、作るなら、気温の低い時期のほうが、向いています。夏までには、根を張っていてほしいので空気が乾燥している季節が最適。(つづく....)5月8日発売の夏号掲載ですー!よろしくです!
January 27, 2017
「すぐれたガーデナーは野鳥に思いを馳せる」
と語ったのは、ウイリアム・モリスです。
それを真に受けて、在英中、英国野鳥協会に入ったのは、25年前のこと。
日本に帰国後も我が家の庭に野鳥を呼ぶことには、熱心にしてきました。
たしかに、野鳥がひんぱんに来る庭には、毛虫や芋虫などの被害が少ないと思います。
10年以上も前ですが、子供に手がかかって、庭のことやプライベイトなことができなかった(今もまあ...(汗)時期、桜の木に毛虫が大発生したことがあります。その年の秋、目立つようにバードテーブルに餌や水。いろいろと手を打つと翌年、毛虫の大発生はなくなり今もそれは治まっています。
楽しみもあって、冬の間は、餌を与えてきたのですが、ここに来て問題が。
ムクドリが大群で来るようになったのです。
日本では、害虫を食べる「農林鳥」と、言われているとか。
しかし、大群でやってくるのは恐ろしい。ヒッチコックの映画「鳥」みたいだ。と、
今、しばし、野鳥への餌やりをストップしています。
もともと、春になったらやめていたのですが。
窓辺で、「すぐれたガーデナーは野鳥に思いを馳せる」服のデザインをしていましたので、これを見ながら、デザインの仕事をするにも便利ではあったのですが。
ヒヨドリをモデルにしたわけでも、ツグミでもないのですが。
モデルにしたい小鳥ちゃんが、この連中が来るおかげで、近づけません。
ヒヨドリも糞害が厳しく、気が強いのでメジロなどの小さな小鳥が追いやられるのが困りものでした。ヒヨに営巣されたら困るので(ぎゃあぎゃあという鳴き声と、大量の糞に)、様子を見ていましたが、ムグドリは徹底的にヒヨドリに対しても、好戦的で、戦う野鳥を眺めるのも嫌なもので.....。なかなか調和とコントロール。
難しいですね。
ヒヨドリがムクドリの横で、様子を伺っています。
January 20, 2017
先日、六本木ミッドタウンのボタニカへ。今月いっぱいでボタニカが閉店、庭もリニューアルすることになったので、見納めと思い行ってまいりました。10年ひと昔といいますが、よくぞ10年、このように、庭の眺めとして六本木の庭の植物たちが生きてきてくれたなと。
感慨無量だったのと同時にその後、維持管理に通い続けてくてくれた(株)Q-GARDENさんに感謝。上の写真が今週の写真で。
下の写真が2007年10月。東京の10月といえば、まだそれほど秋らしくはなく夏の名残を感じるような雰囲気です。オリーブの樹形はほぼ同じすが、幹が太くなって! アガパンサスやカレックスが大きくなっています。
ベルゲニアは、場所により、増えたり減ったりしていますが、とにかく、私が庭のデザインを考えるうえでは、絶対に植栽計画に入れる植物なのです。
乾燥には強いし、日向も日陰もどちらも良いのですが、
(2009年3月の同じ場所です。眺めの手前に大きめの植物を植えたほうが遠近感がでて絵になりやすいので。私の植栽計画では常に最前列。ピンクの花が長く咲くのも魅力)
「庭の眺めをbetter にする植物」として欠かせないのですが
水分が多すぎると、どうもよくないですね。地形的に、谷になるような場所だと美しくなりません。また、自動冠水をするこのような屋上では、冠水チューブが近すぎるとそこだけ絶えたり。水分のバランス。なかなかその読みというものが簡単ではありませんね。
2006年の秋の写真です。ラベンダーやアンゲロニアが繁茂しています。
ただ、ラベンダーはやはり、3年目くらいから、形が乱れたり、うまくいかなくなることもあります。
結局、ボタニカでも数年でいなくなりました。
同じように銀葉でも、長生きなのが、モクビャッコウ。
ハート型トピアリーにできそうな形になっています。
10年前の写真ではこんな感じです。モクビャッコウはすでに大きく育っています。
嬉しかったのが
今週の写真です。キルタンサスが増えて、元気に、これから咲こうとしています。
2月に咲く花としてオススメの球根花です。
丈夫な花。庭に欠かせません。
2007年2月の植え付けの際も、可愛く咲いていて、ハードな植え付け作業のなか、心癒された存在でした。
このとき、こちらのブログやRHSJを通じ募集させていただいた6名の植栽助っ人さんたち(全員女子!)にも御協力いただきました。大型ビルの工事現場はなかなか大変でした。そのせつは、本当にありがとうございました。
レストランとしてオープンすると、優雅な雰囲気ですが。
そんなボタニカ。また、新しいレストランとして、再生するのは3月の予定だそうです。庭の基本構造はこのまま(吉谷博光がデザインしたボタニカのシンボルはなくなるのですが)行くので、また春になったらお尋ねするのが楽しみになりそうです。
ところで、ここで元気に育っている
パニカム・ヘビーメタル。増えているので、今度私が作る目黒区駒場の庭におすそ分けいただくことにしました。
2006年にパニカムはまだかなり珍しかったのですが、一度植えると、強いので、消えることなく、私の庭でも、増やさないように注意をしていましたが、まっすぐに伸びるので、「支柱の要らない宿根草」も庭の 眺めをbetter にする植物として、やはり、new design の庭には欠かせないですね。
乾燥には強いので、人工土壌や屋上には向いています。
さて、一年で一番寒い時期ですが、各ナーサリーから送られてくるカタログチェックで大忙しの日々でもあります。10年前、ボタニカの庭のデザインをしたとき、テレンス・コンラン卿からは、「エレガントな植栽デザインに...」と、お題を出されましたが、今度の駒場の庭も、そのDNAを受け継ぎながら、21世紀のかっこいい庭を目指しております。
January 14, 2017

寒い週末ですが、東京は、ずっと晴れていて、太陽がたくさんでているので、パンジーやヴィオラの花もたくさん咲いています。
ハボタンなどのアブラナ科の植物は、暖かくなると、花茎がするすると伸びてきて寄せ植えのバランスが崩れやすいのですが、ロングライフの寄せ植えを作るときは、左右対称に、同じ品種の脇役を植えたほうがバランスを保ちやすいといえます。

花への興味を優先すると、いろいろな品種を植えたくなりますが、「眺め」を整ったものになることを目標にするなら、やはり同じ品種を揃えるのが鉄板。
あれこれさまざまな品種を入れるよりも、植木鉢の「眺め(景色)」がきれいに保てます。
言い替えれば、家の眺めや、街の景色も、そのほうが、きれいに見える。ということになりますね。

そんなわけで、ロンドンのほか、ヨーロッパの街で見かける寄せ植えは、同じ品種をずらりと植えるのが定番です。
それを「オーダー(様式的に整った状態)がある」といいます。
インテリアや庭、寄せ植えにも、オーダーが整っているのが、西洋的なスタイルの基本だと思っていましたが、21世紀に入って、それも、ワンパターンでなくなってきたかもしれません。
でも、そういう基本を知った上で、自分流を生み出していけると良いなあ。と思います。
January 11, 2017
(NOWNESS 見ました?日本語テロップ入りって、嬉しいですよね)
さて、新しい庭を、自分の自由に作れるチャンスが来たので、嬉々として、その計画を進めております。
コメントをいただきました。
先日の私の「新たな庭」の記事に対してです。
大きな興味を持っていただき、ありがとうございました。嬉しいです。あと、「入り口はどこになるのか?」という質問をいただきました。これも、あと数日で全貌ができましたら、ぜひ!ここ結構、変な建物なんです。(苦笑)
そして植栽のことは、もっと、詳細に書くべきでしたが、時間を端折って書くと、誤解というか、心配をおかけするようで。申し訳なかったです。
しかし、もともとあった大木を伐るなんて、どこにも書いてないつもりでしたが、新しい木を入れるかどうかに関しては、かなり、慎重です。最初はいろいろ植えたくて考えていたんですが、(去年の秋からずっと考えていたので)結局、植えない結論に進んできました。
(ガーデンショウでは、樹木は借りるのですが、これがなかなか難しくリスクいっぱいで、大変でした)
なぜなら、まず。私が一生をかけてこの庭を維持していく保証がないからです。もともと植わっていた木はよいとして、私が植えるには、その責任があります。(撤収のときはどうするのか、も)
借家(貸店舗)の庭。一定の時期、お借りしているので、いつでも返せるようにしなくてはなりません。
以前、なんどか、書いたことがありますが、「木が植えたくてイギリスからの帰国を決意」これは、BISES誌の連載にも書いていたような気がしますが、樹木は一生もの。一年草や宿根草は、1年から数年以内の植物として、カテゴリー化できますが。
ただし、土地を買ったような場合も、慎重に庭に植える植物をセレクトしていかなくてはなりません。
おいそれと、衝動的に植えたくないのが、樹木=一生モノ。という気持ちがあります。
今月いっぱいで、庭もお店もクローズする六本木ミッドタウンの「ボタニカ」の庭も、「庭も刷新します」。と連絡をもらったとき、まさかオリーブの木だけは残してくれますよね。と、念を押しました。とても、立派に育っていたからです。
また、先日からご紹介している 、Piet Oudlf さんの動画にも何度かでていますが、イングリッシュ・ガーデンのドクマに囚われないナチュラルガーデンのあり方。
樹木のある庭もすてきですし、樹木のない素敵な庭もあります。どちらも.....。
それぞれの事情にあったスタイルで。(スタイルがあることは大切!)
そして、21世紀の庭のあり方は、それぞれにまた、異なる事情(気候の変化も含めて)検討される問題ですね。
私がはっきり言えるのは、私たちが理想としていたイングリッシュ・ガーデンは、明らかに、20世紀のもの。今は、21世紀。新たな価値観も生まれ、新たなデザインが求められています。だから、ああ!
やっぱり、今年のチェルーショウへは行きたいなあとますますその思いが強くなっています。
(21世紀らしい庭として話題になったトムスチュアートスミスのデザインしたブロートングランジ)
特に、90年代イングリッシュ・ガーデンにどっぷりと浸かっていた私ですから、そこからの脱皮には時間をかけてきた、今があります。ただ、クライアントさんから、20世紀的な庭を要求されれば、それには応えるように努めてきましたが、気候のほうが、20年前よりも端的に新たな傾向を示しているので、20年前と同じような様子ではいられないですね。
この写真は、福島県の「野の花ガーデン」仲田種苗さんの圃場です。
圃場だけど、毎年、自生しているように生えてくる武蔵野エリアの自生植物。
要するに、自生しているように見えるナチュラル・フラワーの庭。
これが。今、私が目指したい庭なのです。
こんどの場所は面積が狭いので、樹木を入れるとまた別のデザイン要素が発生してしまうという心配もありながら、存続性への心配や責任問題もあり。
はままつフラワーパークでも、「その感じ」を目指してきました。
.......ところで、これは、もう、書いてしまっても、よいでしょうか?
きっと、いいですよね。
私は、この事がかなりショックで、数日前から、ちょっと落ち込んでいました。頭から離れすブルーでしたが、今は、次の「next」考えがあります。
1月16日発売の早春号をもって、我らがガーデニング界を代表する「BISES誌」が休刊するという事実です。
今年の第19回国際バラとガーデニングショウは、今まで18年間にわたって活躍してきた「根っこのある草花や樹木」を愛するお馴染みのガーデナー達が、ほとんど登場しないガーデンショウになりそうなことと、BISES誌の休刊。
でも、私たちが、新たに見据える「BISES next」は、きっと登場するし、不滅のはずだということです。
来週、1月16日は、BISES No106(早春号)発売日です。最後の号になるとは、思いたくありません。まずは応援をした気持ちでいっぱいです。今月号のBISES を買いに本屋さんへ!
それから、 FLOWER SHOW next も、視野に。
去年発足。私も創立メンバーになっている、植物、ガーデニング好きがジャンルを越えてつながろうという、新しいスタイルの一般社団法人 ジャパン・ガーデナーズ・ネットワーク(JGN)も、New メンバー募集中です!
http://www.gardenersnet.or.jp/
多様性の時代、明らかに、今は21世紀。私がイギリスに渡ったのは、20世紀。四半世紀前のことで、時代の流れは違って来ています。必然性も伴ってスタイルを変えながらも、花を愛する文化は絶やさないよう情熱を燃やし続けていきたいですね!