March 2017
March 31, 2017
...咲いていないのでした。びっくりです。昨日の写真です。
私たちは花を植えるばかりでなく、忙しくても花のピークを見るべきなので、スケジュールをやりくりして、はままつフラワーパークに行ったのでしたが....。
(あ、その前に一昨日は、埼玉県横瀬町の講演会へ、お越し下さったみなさま、本当に遅くまで、ありがとうございました!)
寒い3月の終わりの日。(この写真は2年前の写真)
桜の咲いていない浜松の3月30日。こんなことが10年に一度くらいはあるそうです。
(この写真も、2年前の写真)
冬の気温も不安定でした。気温変動の厳しいこの冬と、そして、今のさらに寒い気温。それから、ずっと、あまりにも雨が降らなかった。今日も冷たい雨が降っています。嗚呼〜。
(昨日は晴れて暖かでしたが)それで、桜が咲かず、コブシなどの花がまだ咲いていて。
そして、チューリップもまだ、本番ではありません。
しかし、その分を補うように、温室展示が花盛りです。
デルフィニュームも、今の感じがちょうど良い感じ。
ラナンキュラス ラックス も満開です。
晴れた日の午後なら、妖精のシャドウを見つけるのも楽しいですよ。
桜が咲く前の桜色ワールド。柔らかな色調の景色を進むと
原色チックなゾーン。そして、さらに右に目を向けると。
今回のフラワーフェスタのためにバロック風のパネル(タブロー)をデザインしました。
左右対称に配置したURNは、実はタブローと同じ色にペイントしていただいた。
この壁に随時、ハンギング用に作った植物の寄せ植えを飾るようにと。ちょうど、エケベリアの花がオレンジ色に咲いていて、かわいい!!!
さらに、右に目をやると、
大型の寄せ植え。これは私が作ったものですが、背景が決まらないので残念。
真っ白な壁が背景だったらよかったけれど。
さらに右に回転すると
青いタイルの池に合わせて、イエロー&ブルーのボーダーガーデン。
淡いライラック色のヘリオトロープが素敵だったので、帝王貝細工の両脇に配置しました。
さらに進むとヨルダンのブラックアイリス。このソリッドな見え方が素敵。
ここの配置デザインはフラワーパークのスタッフの植栽。
派手派手の色調のあとに見ると、すっきり感じていいですね。背後の壁も白にペイントされて効果的。
また入り口方向に歩いて戻ると、やっぱり、白い壁、花や葉っぱの美しさを引き立てるのに、欠かせません。白い壁は光合成も促進するので日当たりがもうひとつ怪しい場所でも効果的です。
壁の淵をギザギザにして、それをビスケットパネルと名付けた。
花の撮影にはもってこいだし、反射光が効果的だし、ヨシヤ専売特許で庭用に商品化したいくらいですが(笑)。
次回、浜松に行くのは、4月22日23日。
この頃には桜も散って最後の遅咲きチューリップかと思います。
花のタイミング。常に、常に、一期一会です。
March 28, 2017
中之条うずまきspiral garden 完成に向けて着々と進んでいます。
此処まで来るのに、数々の問題を乗り越えるため、数々の方々にご協力いただき、 感謝の気持ちでいっぱいです。絵に描くのは、ひとりでもできますが、実現は、とにかく、それはもう!凄いことだと思います。皆様の忍耐。熱意。そして、それぞれの出逢いに感謝。人生ってまさにそういうことだと。
菜の花のうずまき。その合間に、矢車菊のこぼれ種が根付いてかわいい。
雑草は抜かないとならないけれど「矢車菊はアリに、しましょう!」と思わず叫ぶ。
それはわかってるよ、と。
これらの種まきから、日々の「花の駅」の管理やとりまとめ、そのスーパーバイザーは、花の会の福田会長。
ミニ熊手で雑草カキを。生長する前だと、容易に抜ける。広大な庭=雑草との戦い。
これは、ちょうど、花の株間とミニ熊手の幅が良い具合に合っていて。
金属の熊手だと植物を痛めることがありますが、これはいいですね!イギリス製のホウよりもいいかもしれないと。
ガーデンとは、近づいてみたり、離れて見たり。ミクロマクロ両方の視点で世界を作る。近視眼的な要素も必要ですが、遠視も必要。その中間もきっと必要。
なかでも、私が最後にこだわっていたのが、うずまきの尻尾の形状。
造園に関わるみなさんは、石組みへの自信のある方々が多いと思います。
私は花の経験は自信ありだが、石組みは僅かな体験のみ。ただ、かなり感覚的で直感的な見方での判断&機能的なこと。思いつく限りを。
ここでつまずく方がいては困るとか。でも、見た目がチャーミングでないと。かなりの面積がこの後の舗装で隠れるのはわかっていても、その見え方が気になってしまい。巨大な彫刻の一部。
さらに、ハード&ソフト。
石の隙間からエリゲロンやセダムが生える隙間を残して。とか。
それじゃあ、この石をちょっとばかり、はつってください。もうちょっと。あとこの石も。などと会話しつつ、すっかり楽しくなってしまっておりました。昭和造園土木のみなさま。ありがとうございました。(まだ終わってないけれども)
しばし、周囲を回って戻ってくると、「やっぱり、ちょっと、石の間を空けていただけるでしょうか?」「ほいきた!」すみません。ありがとうございます。
石積み。こだわり始めると、ああもこうもと、これだけの広大な場所では、時間が足りなくなってしまう!
本当に長い時間が、かかって、ここまでこれた。
ここは、車椅子でも楽に作業ができるし、目の高さで、植物を楽しめる。だから存続可能な限り珍しい植物も植えたいのだが。
両方の場所から手を伸ばせば植え込みも楽。花壇に足を踏み入れなくても、メンテナンスが楽。
いよいよ、来週から!植物をここに植えます。 ワクワク!!!
4月中旬過ぎから、チューリップや花桃が開花始めます! 本当の、本番は、来年の7月!ですが。
March 24, 2017
昨日は、今年最初の箱根 仙石原 星の王子さまミュージアム の春の植え込み作業でした。
寄せ植えもたくさん。完全作り直し(一旦全部抜いて、ダメになった古株を取り除き使える宿根草は再利用、新たな苗で基本構成。
箱根の土と空気、どうも、いつまでも水を含んで、う〜〜〜んラナンキュラスには向かないかもと恐るわけでしたが、この美しさには、今の時期、ほかになにが?と、思うほどに、迫力満点です。
どんよりと曇った寒空の下では、暖色が映えます。これから植えるところ。
たくさんの寄せ植えを作るわけですが、この早春に発刊された園芸ガイド誌の「ラナンキュラスの寄せ植え」でもご紹介していますが、ラナンキュラスは、乾燥に弱いわりに、水浸しもだめなので、とにかく、通水性の良い土で、日当たり、水はけ、風通しの三大要素を完璧に満たした場所でもだめになることがあるので。その最大の解決策として、
浅植え。
写真で見えている白い根の見えるあたりまでが植え位置で、上の1.5センチほどは、飛び出すくらいに浅植えするのが妥当なのですが、それゆえに...、乾燥も早く、心配も増えるので、水やりは初心者の方には難しいことがあります。
この寄せ植えは、植木鉢がとても浅くて(10cm くらい)水はけが早いので以外とうまく育つ。
深い植木鉢だと根腐れをすることがありがち。
植えてすぐに、あまりにも多くのお客様が「バラだ!」と。叫んでいらっしゃるのを見て、
たしかに花はバラによく似ているが。と、複雑な心境になりつつ、周囲の花たちの痛みようから見て取れる通り、1ヶ月後が心配なのも事実です。
1ヶ月後が楽しみなラナンキュラスもあります。ラナンキュラス・ラックス、ハデス(左の赤い花)
こちらは、我が家でも、一昨年の株が大きく咲き始めて。
これから1ヶ月以上は休みなく咲きそうですし、株も大きく育っていきそうです。
こちらも、ラナンキュラス・ラックス。3年目、4年目を目指して大きく育てたいと思います。
ちなみに、右側が我が家で私が手塩に(?)かけて育てている、3年めのラナンキュラス・ラックス、アリアドネ。毎日毎日、愛でて嬉しく思います。
左下に見えるのは、去年、球根から植えたベイビィ。(もう花芽はいっぱい来ています)
何年もかけて育てるタイプの花苗なら、じっくりと緩行性の肥料で育てるのがいいですね。
しかも、水はけがすこぶる良い土で大鉢だと安心。夏の間、休眠したら、この苗を30センチの植木鉢にサイズアップする予定です。
March 21, 2017
イギリスの、ガーデンズ・イラストレイテッド 3月号 が届きました。
遠く離れた日本でも、今のイングリッシュ・ガーデンを知るため感じるために、欠かせない雑誌ですが、時々、温故知新。そういう原点に戻った特集があると、ホッとすることがあります。私の創作活動の原点が、80年代初頭にフリーランスで仕事をスタートした時から、温故知新を基本としてきたからです。常に新しいものを作っていかなくてはならないデザインの仕事ですが、時々、「基本」の素晴らしいものに戻って、揺るぎないものを土台とするというか。
写真は、シシングハーストにおいて、1960年に撮影された、 ハロルドニコルソンと、ヴィタ・サックヴィル-ウエスト。傍に咲いているバラとヴィタのジャケットが同じ色。狩猟用のロングブーツとジョッパースに憧れて、ロンドンのハンティングショップにもよく行きましたが...。
この写真は「Lives of the great gardenars 」40人の偉大なガーデナーを紹介する本の記事からなのですが、やはり、ガーデニングに関する世界観。イギリスで毎年発刊される本から知りうる知識、情報、まだまだ限りなく...。そういう「知りたい事」をキャッチするには、もっと時間が欲しい。切実にそう思います。そして、時々、こちらのコメント欄に独自情報をお寄せくださる皆様に、感謝しています!!!
March 19, 2017
温室を舞台にした花の展示。いままでも、この場所では、
いろいろなガーデンデザイナーやパークのスタッフたちによって、さまざまな展開があり、それぞれにデザインされ、きれいに花が咲いて、来場者の目を楽しませてきました。
ただし、ここを自分が担当するとは思いもよらなかったので、実は、お話が来たときに、イメージがわかず、悩みました。ここは、かなり、難しい場所だと感じていたからです。何が難しいといって、もともとの躯体(背景の構造物や温室独特の装置が、工夫しないと、案外いろいろ同時に、目に飛び込んでくる)をいかに隠すか、この場所で安定してうまく育つ植物と、お客様が見たい植物に、一致を見るのが難しいだろうと思っていたからです。
なので、これまでの「国バラ」で培ってきたノウハウ。サンクンガーデンといえば、中心は池だろうとか。花壇を掘り上げて池にするのは大変でしたが。なので、ここでは、アンデルセンの庭のバレリーナにシダの羽を付けて妖精に。どこかでオードリーヘップバーンの愛した庭の感じも。
イメージスケッチに描かれているデルフィニュームは、まだ花穂が上がっていませんが。
そこでまず、大切なのが、構造物のデザイン。これは、私の仕事、プロダクトデザイナーとして、ディテールの仕上げまでも、ちゃんとできたら、と。思っていました。
たとえば、この白いパネルの背景の淵は、ビスケット・パネルと名付けてマリーアントワネットのテントの縁取りにもでてくるデザインで。何十ミリ単位の比率が美しいのかをなんどか、鉛筆で書き直しそれを浜松の大工さんやフラワーパークのスタッフが作ってくれます。みんな上手に感じよく作ってくれて有り難かったです。このレーザーカッターで切り抜いた「妖精」もね。このゾーンは、花や妖精のシルエットを鑑賞するために作った場所、午後3時頃からとても美しい。花や葉が小粒で、散らかってみえがちな、ラークスパーやスカビオサが活躍しています。
拠点は多く、たとえば、この場所を変化させるにしても、う〜〜ん。
なにか構造物をデザインしなくては。
そこで頭にうかんだもの。「多肉植物のためのバロック・タブロー」
(これ、ニューヨークの友人宅の屋上ガーデンで見かけた、バロック風タブローの記憶から)ラフスケッチは、スタッフに伝えるためのもので、描く時間がなさすぎて、こんなのを描いて。(時間があれば、もっとちゃんと描くけれど)「こんな感じよ〜」それより、私が数値を入れた図面のほうを再現してくださいと。
その図面を描く際の、わたしの秘密のモジュール再現奥義をお教えしましょうか。美しいと思う写真(海外の構造物など)から三角スケールで比率計算をして割り出したものを土台に、自分の思うリアルなサイズに落とし込む。この方法は舞台美術の仕事をしていた30年前から続けてきた方法。西洋建築。見よう見まねでは日本人のDNAに作れない恐ろしく彫りの深い立体感があるからです。
庭の仕事、植えたい植物の発注も栽培も、何百株、何千株となるので本当に大変だと思いますが、構造物の発注もぞれぞれにデザイナーやスタッフの仕事なので、その精度というか、ディテールやモジュールがカッコ悪いと全部うまくいかなくなるので、実にこの図面に対し、理解して立体化してくれるか。
大工さんやフラワーパークのスタッフとのタッグマッチは本当に重要。
花の面倒を見るのは基本の仕事ながら、ありとあらゆる作業があるので、こうした庭の仕事に関わるフラワーパークのみんなを私は尊敬する。
で、この場所が
こうなりました。あれ?右端に花が植わってない?この左右の台座とARUN。かなり歪んでますが、それは直し難く。レンガがずれてるなとか。いろいろ、治したいところが、写真から判明すること多いです。
植栽のバランスや歪みの発見、特に、写真に撮って、モノクロで眺めると分かりやすい。とは、よく講演会でお話しますが、私もこの写真を撮ったのは、夜の8時前。もう、目では色も分からないけれど、歪みやバランスの修正は写真で。iPadなどで撮るといいですね。これは、コンテストに出品するハンギングやコンテナも、同じです。できあがったと思ったら、一旦写真を撮り、自分の目線を客観的にさせて、直したい部分に手を入れるのです。(5月の国バラ、ハンギングバスケットのコンテストでは、審査員を仰せつかっていますので、そんなことも、ヒントとしたいと思います。左右のバランス。絵画的な遠近感が狂わないように。とか。詳しくは拙著「庭の色」や「暮らしの寄せ植え」に再三書いています)
庭のデザイン。最初の全体計画から始まって、色彩計画から、徐々に改善があり、変化する部分も出てきますが、私の場合は、最初の計画+その場のインプロビゼーション。というか、その時々の植物たちの成長具合や、表情とのインプロビゼーションが大切だと思っているので、実は、直感的な即興芸術のような要素も、大切なのだ と思っています。だから、図面だけ渡して、別の人が植え付けするなどありえない!!!
それと、出来上がった庭の写真を撮るのは大事ですが、どの角度から撮るのか。鑑賞するのか。
も、重要。それによって、花の美しさを再発見したり、感動したり。いろいろ広がります。
花たち。ただただ、正面から漠然と見るものでもないのです。
そんなことを踏まえて、今年7月1日にスタートする「英国ガーデンツアー」でも、どこから見るのか。その都度の発見を同行の皆様にお伝えするのも、自分の仕事だと思っています。(つづく)