ビズの新連載

震災以降、それぞれの仕事が手につかないのは皆同じだと思いますが、それぞれが全力で仕事をするべき時が来ている。停電もあり、ろくに仕事ができない印象ですが、光りのある時間帯はずっと撮影をしていました。
今年のビズ早春号で特集した「クリスマスローズの寄せ植え」評判よく(左の写真)、ビズ誌上で、寄せ植えの特集をしましょうということになった。連載とは別に、これまた一ヶ月ほど前から寄せ植えの準備。しかし、震災で撮影が流れた。カメラマンも移動不能。旬の開花期は待ってくれない。全ての撮影を自分ですることに。とにかく全てを淡々と一人で決行。背景に使うボードをペイント。あらゆる日用品を使ってレフ版を固定。強すぎる太陽光線は明るい色の傘で遮り、外気に放射線と花粉を感じつつ、このところ撮影を続けてきました。
「インパクトの反対色VS安心感の同系色」というようなテーマにしようと思っています。それで、この2週間で10点近い寄せ植えを制作。いまの時期、本当にふんだんな材料が手に入るので、実に豊富に作品が作れます。園芸店はこの3連休、花が売れず用意した良い花も売れ残り中。それどころではないとも思われますが、こういう時だからこそ、街を花で穏やかに。でもみなさま、作品を作った以上は、少しでもきれいな写真を撮っておくことです。私は最近、どんなに良い作品を作っても、写真にしておかなかったら、作らなかったと同じだ。と、自分に言い聞かせ、寄せ植えを作っただけで息絶えないで(普通、そこで息絶える)、もうひと頑張り、発奮してカメラマンになっています。
みなさまも同じだと思うのですが、あきらかに震災/原発で動揺して、集中力に欠ける日々です。それでも、容赦なく締め切りはやってくる。実は、ビズ誌の連載は先日発売の春号で終了。次の新しいテーマの連載記事、「吉谷桂子の旅案内」というタイトルの締め切りはあさってなのに、何も書けない。イメージが湧かず苦戦中。ビスの編集Tさんに、有名なアートディレクターN氏がおっしゃったという「生きているんだから、幸せになろうよ」のお言葉を、私も反芻しています。