エリック・ラビリオスの水彩画
昨日の水彩画展で思い出した。私のとっておきの、英国のアーティストをご紹介したいと思います。(今回の展覧会には出品されていませんでしたが)エリック・ラビリオス(1903~1942)です。
私がラビリオスのことを知ったのは、15年ほど前、コッツウォルドの、小さな少し高級なアンティークショップでした。そこでふと、目に入ったのがこのマグカップ。
その絵柄に惹かれて眺めていると、店の主が 「エリック・ラビリオスですよ。とてもレアなものです」
そして私の次の質問は「ラストプライスを教えて下さい」でした。
最終価格でも、当時の日本円で5万円近かったのを覚えています。30分ほど悩み、店に引き返し、買いました。普段は使っていません。だって割れたらショック。普段は仕舞ってあります。でも眺めるたびにちょっと嬉しくなります。
ラビリオスは39歳という若さで亡くなったため、作品数が限られているとのこと。
このマグカップは、ウェッジウッド社製で、1930年代のラビリオスのデザイン。ほかにもいくつかの食器があります。デザインの模様がガーデニングの柄だとどうしても欲しくなりました。
2009年にラビリオスの水彩画集が発売されました。その色の美しさに惹かれました。それまで目にした絵は、すべて版画のようなモノクロでしたので、この色彩が心に染みました。
描かれたのは、ラビリオスが住んだサセックスなどの南イングランドです。今でも、英国の田舎はこんな感じです。昨日の講演会でもお話しましたが、色彩の表現は、単に色彩なのではまく、光の表現がポイントなのです。風景画は、その光と陰が素晴しい。
空は灰色で。今日みたいに灰色した休日に眺めるのにうってつけです。
昨日の講座でも、お話しました。アウトサイドイン&インサイドアウトの感覚で生きる。
空の青と、大地の緑に寄り添って暮らす色彩感覚の話など。
1930年代といえば、ヴィータ・サックビルウエストなどが活躍した戦争前の豊かな時代。イングリッシュガーデン華やかなりし頃の英国の文化。掘り下げるとまだまだ面白いものがでてきそうです。