プロのフラワーアレンジ/プロの寄せ植え
Shade のお店も、開店から数日がすぎて、お祝いで戴いたお花もそろそろベストな状態を過ぎようとしています。すべてのアレンジは給水スポンジに挿してあるので、さてここで、このままにせず、一度バラして、花茎を短く切り戻し深水をして花瓶に挿すと、さらに長く楽しめるので、ご希望のお客様にお持ち頂いたり、スタッフで分けたり、私も個人的に戴いたりと、一同に集まったお花達も個人のお宅に解散中です。このことはすでに、Shade のブログにも書きましたが。
たくさんの花がやってきてくれましたが、素敵なラナンキュラスや変わった色のカーネーションに眼を奪われました。で、いつも思うのですが、「切り花用」の花が「ガーデニング用」には流通しない悔しさです。ラナンキュラスなどは、球根なのだから、もっといろいろな品種に流通して欲しいのに。
バラもそういう傾向があります。だからこそ、小山内さんたちがその両方を兼ね備えたバラを発表したのでしたよね。
↑こんな色のカーネーションがあるんだなあ!こちらはBISES編集部から頂いたお花でした。ライラックは文字通りの可憐なライラック色ですがその隣、このなんとも言えないカーネーションのベイジュピンク!このほかに淡いライム色やチョコレート色など。カーネーションって、あまりガーデニングの世界ではおなじみではないのですが、地植えで育っているところを見てみたいなあと思います。私たちが知っているのは、背の低いダイアンサスなどですものね。
それにしても、フラワーアレンジメントの世界はガーデニングとは違いもありながら、どこかでたくさんの共通点があります。
かのベス・チャトーさんも生け花から学んだことをガーデンに活かしていらっしゃるわけですから、学ぶべきこのとヒントはたくさん隠れているはずですよね。
Kさんからいただいたコメント。みんなで考えてみたいヒントを頂きました。
この方の意図する印象と、私が目指す方向が違うのかもしれないのですが、モダンデザインにしてもクラシックなデザインにしても完成度が高まるほど、「どこかで見たことがあるものになる傾向」があります。ロンドンで見かける素敵なコンテナガーデンは、ほとんどがワンパターンですが、あれこそが美しいと思うし、あまり個性的である必要もなく、環境や景色に馴染んでフィットすることのほうが大切だと思います。
今回は、無難で無個性なアレンジを私が希望したのですから、プロのアレンジャーは、そういう意味で、控えめに、無難で無個性と思われてもよいアレンジを完成してくれたと思います。そこに個性は不必要なわけです。また、ここに至るまでに、私が第一園芸本店さんから頂いたメールの回数は、なんと10回でした!こんな傾向、あんな傾向、どうですか?こうですか?どうですか?最後は「もう、絶大の信用があるのですから、お任せしますよ!」と書いたメールが最後でしたが「白いシャツがメインの店を邪魔しないデザイン」。というお題を、完璧にクリアしてくださいました。私自身は、ますますミニマリスティックな花が好きになってもいます。
そして、お店のお祝い花、明らかにたくさんの花が集まると予想される時、まず、花を贈る側が、先方に希望の花屋さんを伺います。逆に、花のお祝いをしますという前に、指定の花屋さんが先方から伝えられることもあります。ミッドタウンの杮落しのときは「お祝い花は、第一園芸さんのみで!」の指定入りでした。出入りの業者を限定し、混乱をさけるためです。幸い、私が第一園芸さんとは懇意でしたので助かりましたが。また、これ以上の花を置けないことが予想されるときは、お花を丁重にお断りしたり、されたりすることもありますが、お気持ちだけは伝わるし、それはドライな意味で、ありがたいんです。
そして、お店の開店祝の花は、ハッピー・メッセンジャーです。清楚でエレガントでありつつ、無難であるべき、それはもしや、無個性でもよいのです。いや、今回、結構変わった植物も多かったし、どこを見てそう思うのか不思議でもありますが、逆に、自己主張は困ってしまう。へんな色あわせの花束やムードに合わない花が来たらどうしよう!と思っていましたが、どれも素敵でありがたかったでした。
先日は、町田ひろ子アカデミーのガーデンデザイナー講座の皆様と、星の王子さまミュージアムで庭づくりの講座。その翌日は、王立園芸教会コンテナマスターさんの講座と、プロフェッショナルのガーデンデザイナーとして、状況に応じた植物選びのことをお話していましたが「個性は本来、個性を出そうと思わなくても、でてしまうもの」だとも、思うのです。あえて、お金を頂いて完成させる仕事の場合は、まず第一に完成度、花持ちの良さ。お客様の希望をいかに叶えるか。そこが重要なので、「想像力と創造力」が勝負になるとお話しました。花のデザインにも「オーダー(秩序)」が必要だとも、お話しました。
最終的には、その人がその人らしく一生懸命に仕事ができれば、それで十分だと思いますが、プロの仕事はどうあるべきか、の明確なビジョンは必要です。
そして、プロの寄せ植えアレンジャーは、英国で見かけるほどには、日本では発達していません。個性的でなくてよいので、完成度の高い寄せ植えを町中のホテルやレストラン、お店の景色が美しい植物で飾られていくことを願っているのです。そのためには、気分や好みで、物事を判断するのではなく、総合的で理性的な判断力を、自分のなかで養っていかなくては、とも思っています。