スキミア ラブラブ
(スキミア’マジックマルロー’)
冬の苗物で、一番重宝な品種といえば、もう、私は迷いなくスキミア! 仕事の場面で、冬に間違いのないコンテナを作るなら、絶対にコレです。お安くはないので、予算のしばりさえクリアできれば。
昨日は、私のデザインするショップにも、冬の寄せ植えをセッティング。これはあちらのブログにも書きましたが、渋谷でビルの谷間だと、南向きだろうが北向きだろうが、方位に関係なく日当たりの悪いことに替わり無し。
なので、パンジーとかストックとか、シクラメン、いずれも見事な開花は期待できないのです。
このあと、ビルの谷間を風が吹き抜けて寒くもなるでしょうし。
となると、店の飾りは、スキミア以外考えられません。なので、夏はベゴニアか、インパチェンス系、冬はスキミアという結論なのです。
今から20年近く前、イギリスに住んでいたころ、真冬のロンドンには、あまり見るべき植物がなく、ほとんどはツゲかアイビーなどの常緑植物で、色彩に乏しい状態が続きました。
冬のウインドウコンテナを飾る植物は常緑の緑のみ。場所によっては、シクラメンもありましたが、よく見かけるようになったのは最近の温暖化以降のこと。少し春が近づけばスイセンやパンジーなどの色彩が加わるものの、冬はほとんど色彩がなかった。それというのも、今はちょっと違うかもしれませんが、1週間でも2週間で太陽が出ることはなく、夜明けも遅く日暮れも早いために、まあ一日中まっくら。ほとんど光合成ができない植物は、色彩を帯びる余地が与えられず、日本では冬もたくさんの花をつけるパンジーは、むしろイギリスでは春から夏の植物だったことを思い出す。パンジーは耐寒性があるので、「ウインターパンジー」なる言葉は存在したものの、地面にうずくまるように首のすくんだパンジーが黒っぽい葉群だけを見せて生きていたことを思い出します。だから、東京に帰ってから、パンジーが冬の間よく開花するのに驚いたものです。
(ロンドンでの寄せ植え、スキミア’ルブラ’らしき株に手前の赤いのがスキミア’テンプテーション’、そしてカルーナ。
それほど色彩のない冬のコンテナに、唯一赤みを帯びたツボミをびっしりとつけて窓辺を色どるスキミアが 実にチャーミングでした。
この植物の良いところは
日陰で元気。(冬は日なたも大丈夫だが、夏は絶対に日当たりでは夏越しできない)
生長が遅いので、同じ様な姿でまとまる。分岐の枝の行儀がよくて剪定しなくてもこんもり。
冬の間は、寒さ乾燥に強い。箱根ではマイナス5度を下回ることがあったが、元気でした。まるで造花のごとし。 でも、北海道では難しいと聞く。イギリスやオランダの冬はこれ!
また最近は改良された品種がたくさんでてきて、基本的にシックな色彩ではありますが、私はこの地味さが好きなので、やはり愛する。彫刻的な美は何にも勝る。
これは、グローリアスという品種で株が大きく背も高いので、存在感があり、彫刻的。
最初に登場したマジックマルローと比べると違いがよくわかりますよね。
うまくすると、地植えで大きく育ち、冬の間かわいいツボミが目を楽しませる。
スキミアは、Skimmia japonica 。日本の植木屋さんの圃場の滅法暗い日陰の片隅でミヤマシキミという名前で植わっているのを見つけることがあるのですが、これがまたえらく地味に扱われて。
私は何度かそれを選んでデザインの現場に植えてみるのですが、オランダ産の園芸種のような美しい花はなかなか見かけないのですが、その後、どうなっちゃったか。だから、やっぱりオランダ産の園芸種のほうが決定的に美的かもしれない。
こんな株になったら素敵。
来年2014年の園芸ガイドで、スキミア特集の寄せ植えをするため、大量の寄せ植えの制作が始まりました。また、12月の箱根星の王子さまミュージアム、今年最後のガーデニングワーク(12月16日)でもたくさん植えるスキミア。オランダからの空輸株たちの開梱にひとりでまる一日かかって、今、吉谷は自宅に到着した大量のスキミアっ子たちをどんな寄せ植えにするか、毎日眺めてニヤニヤしているところです。
また、栽培のコツや、寄せ植えのコツなども、書いていきたいと思います。
冬は、スキミアの専門家になりたいと思う吉谷であります。いかなる園芸家も、一種か2種でいいから、その栽培には、滅法詳しい栽培家でいたいものです。私は夏はサンパラソルがナンバーワンで、冬はスキミアになりたいと思うし、みなさまも、自分の絶対得意分野の植物があるといいですよね。あなたはどんな植物が絶対品種ですか?