先日のトークショウ
6月28日(土)北海道恵庭「花の牧場」にて、トークショウを行いました。
前半の内容は、「吉谷式・これからの暮らし方」。
今の家をつくるまでの話を交えて。今までブログや講演でも公開したことのなかった写真もたくさん盛り込みました。
あらかじめ、こんなお話を、と、「花の牧場」さんから頂いた内容は、吉谷の「ライフスタイルにおける様々な考え方、それはモノであったり、生き方そのものであったりと、その辺のお話を聞かせてください」とのことでした。なので、私たちの家の、実際にできるまでと、何故イギリスに移住したのか、の話を。
どんな家を建てたいのか。は、イギリスに行く前からずっと模索していました。それは「どのように生きていきたいのか」とも、同義語で。30代になってから、本当は、どう生きていきたいのかを模索していた。家作りは、経済的な問題が大きいけれども、やっぱり、よっぽどのイメージがしっかりしていないと、プロとして、デザイナーをしている私にしても、ぶれて、難しかったです。当時は...。
いろいろと、良いものを見るたびに、良いな〜と思うからです。当時は、オーストリア・ウィーンの旅をしたばかりで、ビーダーマイヤー様式にしたいと熱望したり、フランスに行けば、ナポレオン様式も憧れる!とか、でも、北欧風やモダンデザインもいい。でも、逆に、イギリス風とか、南欧風には、興味がなかった。それを日本でやったら、偽物風になるだろうと思っていたし、イギリス風といっても、ジョージアンにしたいのか、エドワーディアンか、まさか、ヴィクトリアンなどあり得ないでしょう?とか。特定の様式でスタイルをまとめることは、日本に住んでいたら難しいし。
長野県で土地を探していたときは、友人の建築家を介し、坂倉準三さんの設計した住宅が売りにでているとの話が来て、私は、まずは見に行こうと飛びついたのですが、夫は、絶対に自分でデザインしたいとの信念でした。
(ドアノブは、イギリスに住んでいたときから、30個以上も集めていました/ミセス誌掲載/写真・竹浦康郎)
イギリスに暮らしたことで「絶対にこうしたい」と、いう最初のアイデアは、何なに様式ではなく、3.15mの天井高と、すっきりとしたモールディング(フレーム、縁取りになるもの)とドア&窓だけは、こうありたいと具体的になり、そこに、現代のモダンデザインをミックスして、花や緑がどのように寄り添えるかが、大きなテーマとなりました。
でも、家の作りは、たとえトタン屋根と壁でもいいから、Wooden Door や、モールディング付きの窓や天井が、なにはともあれ、必要だった話。ペイントは、絶対にイギリスのファラー&ボウルズを使いたいと思ったこと。でも、ならば自分でペイントするしかなかった。
日本の暮らしは戦後急速に西洋化したように見えるけれど、私たちが享受していたのは、その便利さだけで...。美しさや気持ちのよさ...。は、実は、あまり、取り入れられてこなかったのではないか。
数値には示せない、感覚的な心地よさや、美しさのヒントを、実際にイギリスに住んで、ひとつひとつ手に入れた。そのいくつかのコツを..。でも、こういうことは、実は、ブログや雑誌の原稿では表現しにくいんです。実際に、お話をしないと。
(写真は、家を住みながら作っていたので、どのドアも仕上げ途中)
特に、ドアの話。日本に昔からあった日本の戸、あれはドアじゃないですよね。ガラリの戸。でも、今も感じる。ドアの歴史のないままに、ふすまにドアノブがついたような構造の、日本の住宅のドアがずっといやでした。(開け閉めのたびに、合板で中が空洞のため、パコンパコンという)。
本物の西洋の「THE DOOR」は、ゴツーン、という音、ドアがむくの木でできているため、音が重たい。私は、「ああ、ドアはこういうものがいい」と、思ってしまったときから、そのことだけを考えてしまうようなこともありました。「このほうが気持ちが良い」とか「好きだ」とか、美しいと思うかけらをイギリスで探し出し、集めて家を作った。そのドアは、イギリスの田舎の中古屋で、1〜3万円くらいで買った。ロンドンのホームセンターでも、無垢の木のドアを7000円くらいで数枚購入。そして、ドアには、モールディング。天井と壁をつなぐモールディングは、日本でその扱いを幅広く行っているミハシさんに相談。
(インテリアは、すべて、ここも、全部、自分たちでペイントをしたのは、予算との関係と根性、2年ほどかかった)
その先の話は、またの機会に書きたいと思いますが、インテリアとエクステリアは、繋がり、空間が全部融合していくためには、やはり、興味の対象を広げて、広い世界を観察することが大切ですよね。
さて、いよいよ、6月も終りですね。上半期終了。あと1週間でイギリス・ガーデンツアーへ。それまでにするべきことが満載でどうなることかと思いますが、いつもブログを見に来てくださり、ありがとうございます!