パリの公園 公共の緑 公共の花
今回のパリの滞在中、気をつけて眺めていたことのひとつに、
「景色全体」というテーマがありました。
「美しい」と思うものは日本での暮らしにも、身の回りに、いろいろあります。
でも、「美しい」と、思う公共性の高い景色には、なかなか出会いません。ない。わけではなく、なかなか。という程度ですが。
パリ市内でも、アウトスカート。少しパリの中心を外すと、美しくない景色がいくらでもありますので。やはり、パリ市内中心地は、よほどの努力で、成り立っているのだということがわかります。
チュイルリー公園。本当に美しい。この向こう側に、ルーブル美術館。この美術館が美術館として一般公開の始まったのが、300年以上も前の、1793年の8月10日、(今日!)だったそうです。 ルイ16世の処刑から1年後のこと。
フランスには、フランス革命という激しい改革を起こすようなエネルギーと、フランス社会全体に通底する優れた合理性が、それとはまるで水と油のように感じられる「美意識」という要素によってうまくバランスされていて、その点にいつも驚きを持って感心する。
きわどく危ない面もあるのかもしれないけれども、とにかくパリの街には、降伏。
美に対し、お金をかけるという意識は、庭やガーデナーへの経費にも繋がる。庭ばかりは、手入れを怠るとすぐに美しくなくなるので、ただ緑があれば美しいというものでもなく。それが都市の緑と、自然界の緑との違いですね。
先日から話題にしていたキョウチクトウですが、これも、スタンダード仕立になっている。本当にすばらしい。それにしても、なんて大きなヴェルサイユプランター。
キョウチクトウ。我が家の2階お風呂場外の小さなスペースでも、2週間水やりされなくても、元気に花を咲かせていて愛おしい。私が都心への道で年中使う高速、中央道の路側樹のキョウチクトウは只今、満開。この濃いドピンクの色が苦手なだけで、もっと園芸種で淡いピンクなどがあれば、人気は回復できると思うのですが。
さて、2週間のパリ滞在で帰国してみると、わが町の景色。街路樹が多く、その木陰がありがたい。緑が多い分、そう悪くもないのですが、路地を歩いてみるとエアコンの室外機がやたらに目に入ります。パリの街にも、最近はエアコン完備の場所が増えましたが、そう思って景色を見回してみても、やはり、室外機を見ることはありませんでした。
公共の目が行く道路側にエアコンをつけて平気な神経って?
やはり、美意識は、子どものころから養うものか。とは、パリでみかけた子供たちにとても強く感じたことでした。江戸川区に私設美術館を設けている友人が、夏休みは親子連れに無料開放しているのに、誰も観にこないと嘆いていました。柳原義達の「カラス」など、すばらしい作品があるのに残念。
いつもみなさまから、すてきな嬉しいコメントを頂いています。ありがとうございます!!!
以前に、日本の街の景色の話をしたときのこと。bさんから、
「(前略...)家族とも、その件について時々話をしますが、一般の日本人はやはり美に対する感覚があまりないのではないかという結論になります。家を頻繁に建て替えるので、建築デザイナーは海外よりもたくさんいるようですが、一部の人を除いて数十年先のことを考えてデザインしてはいない。そもそも行政にも 景観における建築の制限は設けていないのがほとんどなので 自由奔放です。日本は地震、水害、高温多湿などさまざまなマイナス要因はありますが、それは理由にならないと思います。
一般人の意識を変えることができるのか。
結局 個人単位ではどうしてもまとまらないので行政が変えていかないと変わらないのだと思いますが、 ちょっと悲観的な状況ですね。
今の自分にできることは、小さな家の周りでも、美しいなと思える植栽を努力して維持していくことしかないのかもしれません」
本当にそうですね。それこそが、自分たちにできることなんだと思います。
ちなみに、こちらのブログを見に来てくださるかたは、美への意識が高いからこそ、見に来てくださってます。....それゆえに、数からすると、少数派なのは確かです。
ただし今、暑いので十分な庭の管理が難しいですね。難行苦行。庭はすぐに鬱蒼としてしまってヤブ蚊の宝庫ですが。今朝も、蚊に食われた〜。
でも、「努力して維持していく」これですね。
どこの街でも、どこの庭でも。すてきだな。と、思わせてくれるところには、地道な努力がある。今は暑いですが、熱中症にならない範囲で早朝などに、庭仕事。がんばろっと。