ヨシヤ的 九份の行き方
九份。千と千尋の神隠しの、景色設定のモデルにもなったという、それから、美しい画像で知られる侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の映画「非情城市」の舞台にもなった、あの景色が見たくて。 行ってきました。
これは、「非情城市」的景色。
台北の街からは、流しのタクシーを拾って1時間強(タクシー代、台湾は日本よりもずっと安くて、1時間乗っても1000元/4000円くらい)。3人で動いているので、これがもっとも、便利な手段です。タクシーはホテルで呼んでもらうともっと安心ですが。時々、悪気は、なさそうですが、運転の猛烈に荒い運ちゃんがいるので、タクシーは便利だけれども、なるべく選びたい感じがします。
トワイライト。九份の暮れなずむ景色が見たいからと、台北を3時すぎに出発、しかし、あいにく、この日は暗くどんよりとした雨空でした。
さて、タクシーの運転手には、九份のセブンイレブンの前で降ろして。と、伝えた。このセブンイレブンのすぐ右側に、あの有名な景色に繋がる、細い坂道があるから。
ここを延々、独特の食べ物の匂いを嗅ぎながら上がる。人も犬も猫も、ぐちゃぐちゃ。そして時々、物資を運んだ猛烈な排気ガスを出す昭和三十年代的なバイク。中には、落としてしまいそうな危うさでプロパンガス満載のバイクが....。あぶないっ!とつい叫びたくなる。
でもさあ!?
人でごった返して、実際、ただひたすらぎっしりの人の群ればかり(そういう私もそのひとり)私、こういうの好きじゃない。って、ぶつぶつ言いっぱなし。もっと情緒のある場所はないのか。写真は絵になるように撮ったのでこんな感じですが。それで人でごった返すこのなかの一軒の店にでも入ってお茶かご飯か。と、思うわけですが、どこも満席。ごった返し。
とにかく、すしずめ状態で観光客がぞろぞろと細くて狭い坂を登っていく。人気のない脇道に何度も進んでみたり。
...で、あるところに洞穴のような入り口。(ヒントは一番最初の写真の右端にその入り口)かなり怪し。ここを入ってみる。かなり猥雑な落書きだらけの洞窟を抜けると。
別の静かな世界が広がっていた。
そこですぐに目に入ったお茶屋に入る。
入り口はあまり素敵じゃないんですけれども、中に入るとだんだん良くなる。
ニイハオ。と入っていくと「お茶?ご飯?」と、いきなり日本語で聞かれる。
私台湾の美容室で髪を切って以来、必ず中国語で話掛けられるようになっていたのでちょっと嬉しかった。
このおばあちゃんが日本語がうまくて、ね。いい感じなの。
これで、本当に台湾の烏龍茶にノックアウト。
一杯目をお湯で洗って二杯目からこのようにお茶を出しきりながら何度も何度もいただく。
阿里山茶。この一セットで10パイ以上は飲んだだろうか。おいしくて。
店内には、がらんとしていてとても静か。木造三階建の建物は古くてギシギシいう階段を登っていくと、こんどは、まさに非情城市の世界。それとも、この感じも「千と千尋」っぽいかな。
いいね。いいね。といいながら、実は、2時間もここでお茶を飲んでいた。
途中なんどか、猫が愛想を振りまきに来る。
お茶を飲みながら、眺めていたのは、ずう〜〜〜っと。この景色。本当はこの霧がなければこの向こうに海と港と美しい山の景色が見える。
デジャブのような景色。そうだ、ここだったんだ!探していたのは。
またひと気のない場所を探してわざと迷ってウロウロ歩いて九份を堪能。
さて、帰りは、また観光客でごった返す場所へ。噂通り、客引きタクシーがうるさくつきまとう。台北までは、1000元で行けるのに、1500だ、1200だと、大きな声で声をかけてくる。まあ、それでもいいんだけど、なんか悔しい。ねえ。メーター通りに行ってくれないかな?
メーター通りなら乗るよ。ダメ?あっそ、じゃあ降りる。
とか繰り返しながら、車には二度も乗ったり降りたり。押し問答して、結局ホテルまで、メーター通りの980元で帰る。でもこの気まづい感じで1時間、タクシーに乗ってるのはなんか、やっぱり嫌だったな。
チップ代わりに1000元渡したけれども、これが、九份往復の、ちょっと面倒くさいことではありました。
でも、九份に行ったら、このおばあちゃんの店でお茶を飲むのをおすすめ。とっても静かで、時間が止まったようで、まるで1930年代の台湾を感じたような気分で師走の夕方、今年を振り返るような時間が過ごせました。これからしばらく台湾の仕事が続くのですが、うまくいきますようにと願いつつ。
乗り合いバスで行って帰ってくる手もあるので、台北に行ったらぜひ。