The New Perennial Movement & オーダー(追記/リバイスド)
(Dove cottage)
イギリスで「New Perennialist 」の庭を見て来た新鮮な印象を持って、そのままの視線で、すぐに北海道、イギリスのガーデンデザイナー、バニー・ギネスさんがデザインした銀河庭園へ。
コッツウォルドと同じくらいの気温でかなり暑かったですが、着いてみるとニューペレニアルといえる(本当は、特に新しくもないのだが)美しい場面がくり広がっていました。
10年前も美しかったグラス、カラマグロティス?その前には、アスチルベ。がかなり日当たりの良い箇所でも元気なのは、水辺が近いからか?でも、カラマグロティスは、湿地の箱根ではうまく育たないが。7/16撮影)
とにかく、土地にあってうまく生長している植物は、素晴らしく美しいと感じました。10年通い続けていて、改めて感動。(イコロの森のアスチルベ。7/16撮影)
以前のブログで書きましたが、改めて「* The New Perennial Movement」新多年生運動とは?
New Perennialistsは、自然主義的な眺めのため、ドリフト状に植えられた草本の多年草とグラス類の庭である。 現代の自然状況(資金、人手不足、温暖化、降雨不足の問題など)に適した、庭づくり。新しい多年生運動では、フォルムとストラクチャーのバランスを考慮して植物を選び、それぞれの生態系にとって適切な植物を植え付けることに重点を置く、色彩はあくまでも次の選択肢。手間のかかるバラなどは植わらない。
「自然主義的な」という眺めは、ここ100年ほど続いてきたイングリッシュ・ガーデンの特徴ですが、それに対して、フランス庭園は、整形式で左右対称がベースになっています。
しかし、最近のフランスの庭も、整形式に区切った中を自然風のドリフトプランティングにしている場合が多く、良い加減で(いいかげんではなく、良い)フォーマルとナチュラルをうまく混ぜて心地の良い眺めを表しています。
ここ1〜2年ほど、講演会のたびに、Order の話をしていますので、ブログにも書くようになりました。このことに気づいたのは、イギリスに住んでいた時です。玄関先の植木鉢の置き方など、オーダーを意識した配置がロンドンの街を美しく見せて、それのない配置では、カオス化することなどを毎回、実際の写真をもとにしてお話しています。ロンドンの住宅街に住んで、最初のうち、自分のしていることにいわゆる「違和感」を感じ始めたことでキーワードを見つけた。それが、Oderであり、それは、様式という意味も持つし、法則性ともとれます。
「言う通りにさせる」「思い通りにする」という意味もあり、まさに、フランスの整形式庭園はそのわかりやすい例ですね。自然を制覇するオーダー。しかし、18世紀から19世紀にかけて、そのスタイルも変化してきます。
Order の反対語が Chaos という考えがあります。
Art の反対語は Natureだと言ったのは、かのデレク・ジャーマンですが。
こちらのブログに、ご質問を頂いています。
「以前、庭のオーダーについてお話されていましたよね。オドルフさんの庭も秋は素敵だと思います。ベスチャトーさんの庭は別格だと思いますが、私の中でのオーダーとは違うような気がするのですが、先生のお時間のある時このオーダーとは何か教えてくださいますか?」
真摯なご質問をありがとうございました。Piet Oudlf さんの庭は、彼の提案通り、「植物の芽ばえから枯れるまでを考慮に入れた植栽」への愛と理解がないと、たとえば「春はつまらない」。ということになります。初夏に彼のご自宅に伺ったときは、多くの植物たちがまだ緑色で、花色があまりなかったので、「どのように鑑賞すればよいのか?」と、ツアーメンバーから質問を受けました。まさに、当然です。あの質問を受けたときは、逆に私が勉強になりました。自分ばかりがそれを見て感動していたからです。でも、それは、まっさかりでないだけにそれぞれの株の所在がよくわかり、季節の移り変わりによって変化する世界の序章の美。ただし、確かにあと1ヶ月後に訪ねたなら、もっと華やかで絵画的な美しさだったであろうと、いつか、7月に彼の自宅のあるオランダのヒュンメロに行きたいと願っています。
さて、質問に戻ります。ベス・チャトーさんの庭は、自然主義の一種、頂点のような庭ですよね。少なくとも私はそう思っています。現在のOudolfianが騒ぐ前からの、本質的な The Perennial ガーデンでした。そして、ガーデンデザインの基本は、まさに自然風。図面は一切ひかず、実際にゴムホースを地面に置いて決めたという川の流れのような曲線も、ベスさんの肉眼で決定された眺め。それはまた、日本のいけばなの美意識である天地人。左右非対称で不等辺3角形にスタイルの基本を持つものです。
左右対称の様式に、オーダー(法則性)がはっきりと、あることは、誰でもが理解しやすいのですが、左右非対称にオーダー(法則性)がないのかというと、そういうことでもない。と、最近私は思うようになってきました。その部分はある意味、芸術的な判断もあり、オーダーのないものが即、カオスなのかというと、それも違います。これまた、昔論議を呼んだ「右じゃなければ左ですか?」右と左の間にまったくもって中間がない。ということになりますが、中間もあるでしょう。
でも、25年間のあいだ。自分も成長しながら、四半世紀もベスさんの庭を見てきた。
ベスさんの庭には、ベスさんが独自に生み出した自然でありながら、カオスにならない「法則性」がある。言い換えると、ベスさんが作った独自の「オーダー(法則性)」を、この庭に見てとることができる。左右対称だけが、オーダーではないという「考え方」もあると。いわば、美の法則のようなもの。
これは私流の見方でもあるので、私の解釈になるけれども、点、線、面の植物。形質の違い。似たような質感形の植物を隣同士に植えないことなど。その法則の典型となる写真です。面の植物を手前に。は、私も、国バラなどで、もう、18年間続けてきた、遠近感の法則。ツヤもの手前、マット(つや消し)もの奥、など....。左右対称の配置はわかりやすいし、整って見えるけれども、左右非対称でも、整って見える配置があり、それも、絵を描くセンスに似ているので、その基礎を勉強することで技量は上がりますよね。
心から植物や花を愛する私たちですが、それぞれの植物の美しさや習性を知って庭に植える。その、やっぱり、究極をベスさんの庭に見る思いです。
また、今回のツアーでは、ダブコテージにその新型を見た。いろいろな庭の素晴らしさからヒントを得て、今後も厳しくなるであろう自然環境と折り合って生きて行くヒントを見つけてながら、美しい草花に癒される人生を歩んでいけたらなあ。